天神の縁日 (年中行事 毎月25日)
菅原道真の命日は旧暦2月25日、誕生日は旧暦6月25日——その両方が「25日」であることが、毎月25日を天神の縁日とした由来です。平安時代の貴族・学者であった道真は、藤原氏の策謀により太宰府へ左遷され、903年に没しました。死後、都では落雷や疫病が相次いだことから「天神」として祀られ、やがて学問の神としての信仰が全国に広まっていきました。縁日の中でも特別な位置を占めるのが、1月25日の「初天神」(始め天神)と12月25日の「終い天神」です。一年の最初と最後の縁日として、天満宮・天神社には例年にも増して多くの参拝者が訪れ、境内や沿道には食べ物・植木・骨董・衣料品などの露店が軒を連ねます。初天神の賑わいは江戸時代から庶民の年中行事として親しまれ、落語の演目「初天神」にも描かれるほど生活に根付いていました。
天満宮の総本社とされるのが、福岡県太宰府市の「太宰府天満宮」と京都市上京区の「北野天満宮」の二社です。太宰府天満宮は道真の墓所の上に社殿が建てられたとされ、北野天満宮は947年に創建されました。両社ともに2月25日の命日には「梅花祭」を執り行います。道真が生前に梅を愛でたという故事にちなみ、境内の梅が咲き誇る中で神事が営まれるこの祭りは、命日を「道真忌」として悼む意味も持っています。
大阪市北区の「大阪天満宮」では、1月25日に「初天神梅花祭」とあわせて「うそ替え神事」が行われます。「うそ」とは木彫りの鳥・鷽(うそ)のことで、前年の悪いことを「うそ」にして幸運に替えるという意味が込められています。参拝者同士が鷽の木彫りを交換し合うこの神事は全国各地の天満宮でも見られる独特の風習で、旧暦から新暦へと移行した現在も毎月25日という縁日の日取りは変わらず引き継がれており、1200年近く前に生きた一人の学者の生没日が今日もなお全国の神社で月に一度の特別な日として守り続けられています。
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