京都市電開業記念日 (記念日 2月1日)
1895年(明治28年)2月1日、塩小路東洞院から伏見町下油掛まで6.4kmを結ぶ路面電車が走り出しました。日本で初めて一般営業用電気鉄道が営業を開始した日です。
この電車が京都に誕生した背景には、琵琶湖疏水があります。明治維新後、東京奠都によって皇居を失った京都は市勢の衰退を憂い、琵琶湖から水を引く大工事を計画しました。設計者の田辺朔郎は渡米して世界初の水力発電設備を視察し、帰国後すぐに設計を変更。蹴上に水力発電所を建設したことで、余った電力が路面電車の動力源となりました。路面電車の開業は、都市インフラ整備の副産物でもあったのです。
開業当初の電車には「電車の先走り」と呼ばれる存在がいました。小学校を卒業したばかりの少年で、時速10kmで走る電車の前を駆けながら「電車が来まっせ!危のうおまっせ!」と大声で叫び、沿道の人々に危険を知らせました。停車のたびに前後の安全を確認するのも少年の役割でした。電気で走る乗り物など誰も見たことのない時代の、独特の安全対策です。
その後、京都市は1912年(明治45年)に独自の路線を開設し、1918年(大正7年)には京都電気鉄道を買収して全路線を市営化しました。最盛期には市内を網の目のように結ぶ路線網を持ち、市民の足として機能しましたが、モータリゼーションの波に押されて1978年(昭和53年)9月30日をもって全廃されています。日本初の路面電車が誕生してから廃止まで、83年の歴史でした。
なお、東京では1903年(明治36年)8月22日に東京電車鉄道が新橋〜品川間で営業を開始しており、この日は「チンチン電車の日」とされています。また、「ろ(6)でん(10)」の語呂合わせから6月10日は「路面電車の日」に制定されています。