聖アガタの祝日 (記念日 2月5日)

聖アガタの祝日

3世紀のローマ帝国によるキリスト教迫害の時代、シチリア島カターニアの貴族の娘として生まれたアガタは、251年2月5日に殉教しました。ローマ総督クィンティアヌスの求婚をキリスト教への信仰を理由に拒否し、その結果として捕らえられ、激しい拷問を受けた末に命を落としました。乳房を切り落とされるという苛烈な拷問に屈することなく信仰を貫いたアガタは、後にカトリック教会・正教会・非カルケドン派のいずれにおいても聖人として列せられています。彼女の名はギリシャ語で「善い」「高潔な」を意味する言葉に由来するとも言われています。

アガタが火中で焼かれたとされる拷問の経緯から、彼女は火災から人々を守る守護聖女とされるようになりました。乳房を切り落とされた経緯から近代には乳がん患者の守護聖女とも位置づけられ、鐘職人やパン屋の守護聖人とも伝わっています。殉教翌年の252年にエトナ山が噴火した際、信者たちがアガタの衣を持ち出してカターニアを溶岩流から守ったという伝承が残っており、この奇跡の逸話が守護聖女としての信仰をより深いものにしています。アガタを描いた絵画や彫刻では、切り落とされた乳房を皿の上に乗せて持つ姿が伝統的な図像として定着しており、信仰のために苦難に耐えた聖人の証しとして西洋美術の長い歴史の中で描き継がれてきました。

カターニアでは毎年2月3日から5日にかけて聖アガタの祭りが盛大に行われます。ユネスコの無形文化遺産にも登録されており、100万人を超える参加者が集まるシチリア最大の祭典です。白い服を着た信者たちが、アガタの聖遺物を収めた豪華な台座を綱で引きながら街中を練り歩きます。

日本のカトリック教会では、2月5日が長崎の西坂丘で処刑されたパウロ三木ら26人の殉教者を記念する「長崎二十六聖人殉教の日」にあたるため、聖アガタの祝日は翌2月6日に移して祝われます。26人は1597年、豊臣秀吉の命を受けて処刑されたキリスト教徒たちで、日本のキリスト教史を語る上でも重要な存在です。カトリックの典礼暦においてアガタの記念日は2月5日と定められているものの、こうした地域の事情に応じた調整が行われることがあります。