国産ブナ材の日 (記念日 2月7日)
「橅」という漢字をご存じでしょうか。木偏に「無」と書くこの字はブナを表し、その由来は「材が役に立たない」からとされています。ところが実際には、ブナは均質で適度な硬さを持ち、丁寧に磨くと驚くほど滑らかに仕上がる木材です。古くから家具や曲げ木の椅子に使われてきた歴史があり、洋服をかけるハンガーにとっても最も適した素材として知られています。この逆説的な素材に正面から向き合い、2月7日を「国産ブナ材の日」として制定したのが、兵庫県豊岡市を拠点とする中田工芸株式会社です。
日付は「ブ(2)ナ(7)」の語呂合わせです。2022年(令和4年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。中田工芸は業務用木製ハンガーやディスプレイ什器の製造・販売を手がけるメーカーで、その主力製品であるハンガーにはブナ材を使用しています。ただし現状では、国内に広がるブナ林の多くは活用されないままです。かつて薪炭林として利用されていたブナ林は、エネルギー転換とともに放棄され、循環利用の仕組みが整っていません。
同社がこの記念日に込めた目的は明確です。国産ブナ材を持続可能な仕組みで活用し、森林保全と地方創生につなげること。ヨーロッパではすでにブナ(ビーチ材)の循環利用体制が確立されており、同社はその材を使ってきました。国内でも同じ仕組みを実現するため、新潟県魚沼市大白川地区が推進する「スノービーチプロジェクト」にも賛同し、雪国のブナ材の活用と観光資源化に向けた取り組みを進めています。ハンガーという日用品の材料調達が、山村の雇用や森林管理と直結する構造を目指しています。木材としてのブナは英語でビーチ(Beech)と呼ばれ、スキャンジナビア半島からヨーロッパ全土に分布する広葉樹です。日本には別種のブナが自生しており、東北から九州の山地に大規模なブナ林が残っています。国内での資源利用が進めば、輸送コストや環境負荷の削減にもつながります。なお、中田工芸は2月8日を「木製ハンガーの日」としても制定しており、ブナ材の記念日と連続する形でものづくりへのこだわりを発信しています。