坪庭の日 (記念日 2月8日)

坪庭の日

「坪庭」という言葉のルーツは、平安時代の寝殿造りにまでさかのぼります。2月8日は、千葉県東金市でエクステリア・ガーデンの設計施工を手がける株式会社ダイカワが制定した「坪庭の日」です。日付は「坪庭」の「に(2)わ(8)」という語呂合わせに由来しています。

坪庭とは、建物と建物との間や敷地の一部に作られた小さな庭のことです。中庭的なものは建物の内部に光や風を採り入れるために設けられ、限られた空間の中に自然を凝縮した独自の美を持ちます。株式会社ダイカワは、ひとつの家に一か所お茶室のような大宇宙を想起させる坪庭を設けることで、日本の文化や緑の大切さを感じてもらいたいとの思いから「坪庭文化」を広める活動を続けています。この記念日は2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。

「坪庭」という言葉の起源をたどると、平安時代の寝殿造りに行き着きます。寝殿造りは建物が渡り廊下でつながれた構造で、建物と建物の間に自然と空間が生まれます。この空間を「壷(つぼ)」と呼ぶようになり、のちに「局(つぼね)」「坪」の字も当てられるようになりました。ただし、当時の「壷」は四百〜五百坪もある広大なもので、現代の坪庭とはスケールがまったく異なります。

平安時代の文学作品にもこの「壷」の名残が見られます。『源氏物語』における「桐壺」や「藤壺」の巻名は、その壷に桐や藤を植えたことに由来する女官たちの住まいの呼び名です。広大な王朝建築の空間に植えられた樹木が、そのまま居所の名称になるほど、植物と暮らしが深く結びついていたことがわかります。

時代を経て坪庭は、京都の町屋文化の中でその形を洗練させてきました。元来は主屋と離れとの間にある庭園を指す言葉で、町屋造りの密集した街区においても採光・通風・緑の確保という実用的な役割を担ってきました。現代においても、都市部の住宅や商業施設に設けられた坪庭は、コンクリートに囲まれた生活空間に季節の移ろいと静けさをもたらす装置として機能しています。