副業(複業)の日 (記念日 2月9日)

副業(複業)の日

2018年1月、厚生労働省は「モデル就業規則」を改訂し、副業・兼業を原則禁止する規定を削除しました。この改訂は日本の雇用慣行を大きく揺るがすものでした。明治時代以来、日本の企業社会では「本業一本」が長らく暗黙のルールとして機能してきましたが、少子高齢化による生産年齢人口の減少と、それに伴う労働力不足が政府を動かしたのです。この流れのなかで、株式会社ホールハートが2月9日を「副業(複業)の日」として制定しました。日付の由来は、「副」「複」「福」という三つの漢字がいずれも「ふ(2)く(9)」と読めることから。副業でスキルを磨き、複数の仕事を持つ「複業」へと発展させ、最終的には個人が社会で幸福に働ける文化をつくることが制定の目的です。2018年(平成30年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。

ホールハートはプロ人材の副業紹介サービス「プロの副業」を展開する東京・渋谷の企業です。同社が着目したのは、副業を単なる「収入の補填」ではなく、キャリア形成の手段として捉える視点でした。「副業」から「複業」へという言葉の転換には、一つの雇用関係に依存しない、複線的な働き方を社会に根づかせたいという意図が込められています。

政府の「働き方改革実行計画」(2017年閣議決定)では、テレワークや副業・兼業などの柔軟な働き方の実現が明確に目標として掲げられました。厚労省が同年に公表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は2020年と2022年に相次いで改訂され、副業を原則容認する方向性がより明確になっています。大手企業のなかにも副業解禁に踏み切る動きが広がり、2018年は「副業元年」とも呼ばれるようになりました。

ただし、実態はまだら模様です。副業を認める企業が増える一方、依然として制限を設ける企業も少なくありません。労働時間の通算管理や社会保険の適用など、制度面の整備が追いついていない部分も残っています。「副業(複業)の日」は、そうした課題を社会に問いかける機会としての意味合いも持っています。