オートファジーの日 (記念日 2月12日)
1963年2月12日、ロンドンで開かれた学術会合の壇上で、ベルギーの生化学者クリスチャン・ド・デューブが初めて「オートファジー(autophagy)」という言葉を口にしました。細胞が自分自身の成分を分解・再利用するこの現象に、ギリシャ語で「自分自身」を意味する「auto-」と「食べること」を意味する「-phagy」を組み合わせた名前が与えられた瞬間です。日本語では「自食(じしょく)」とも訳されます。
オートファジーとは、細胞が不要になったタンパク質や異常な構造物を自ら分解し、アミノ酸として再利用する機構です。酵母からヒトまで真核生物に広く保存されており、栄養が枯渇した状況では細胞内のタンパク質を分解してエネルギー源に変え、通常時は異常なタンパク質の蓄積を防いで細胞の質を保ちます。細胞内に侵入した病原微生物を排除する役割も担っており、ハンチントン病などの神経変性疾患やがんの抑制との関連も研究が進んでいます。ド・デューブ自身はリソソームの発見によって1974年にノーベル生理学・医学賞を受賞しており、2016年には大隅良典氏がオートファジーの分子機構の解明で同賞を受賞しています。命名から半世紀を経ても、この概念の科学的重要性は増し続けています。
2月12日を「オートファジーの日」として制定したのは、大阪府箕面市に事務局を置く一般社団法人・日本オートファジーコンソーシアムで、2022年(令和4年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。科学的知見を社会に正しく届けるための指標の標準化と啓発活動を推進することが、この記念日の目的です。