寒天の日 (記念日 2月16日)

寒天の日

2005年1月28日、NHK『ためしてガッテン』が寒天を特集したその日を境に、スーパーの店頭から寒天が消えた。翌朝には売り場が空になり、メーカーが増産に追われるほどのブームが起きた。「寒天の日」は、あの放送を記念して制定された日です。

制定したのは、長野県の茅野商工会議所と長野県寒天水産加工業協同組合。2006年(平成18年)のことです。茅野市を擁する長野県諏訪地域は、天然角寒天の生産量が全国シェアのほぼ100%を占める、文字通りの「寒天の産地」です。海のない山岳地帯でなぜ寒天なのかと思われるかもしれませんが、そこには約200年の歴史があります。1830年ごろ、茅野市玉川地区の小林粂左衛門が京都から製造法を持ち帰り、この地に根付かせました。

諏訪地域が産地として成立しているのは、気候条件が決定的な理由です。標高の高さゆえ夜間は氷点下5〜10℃まで冷え込み、乾燥した晴天が続く。天然寒天の製造は、テングサを煮溶かして固めたものを屋外で凍らせ、ゆっくりと乾燥させるという工程を繰り返します。この「凍らせて・乾かす」サイクルを自然の力だけでこなせる場所が、諏訪地域なのです。そして1月下旬から2月にかけてがその最終盤にあたり、天然製造の寒天が「大詰め」を迎えます。

寒天の原料はテングサ(天草)やオゴノリといった紅藻類です。その粘液質を凍結・乾燥させたもので、英語では「agar-agar」または「agar」と呼ばれます。乾燥寒天を冷水に浸してから沸騰させ、炭水化物鎖を溶かし、38℃以下に冷ますと固まります。特筆すべきはその凝固力で、ゼラチンよりもはるかに低い1%未満の濃度でも固まります。

健康食品として注目された理由は、豊富な食物繊維にあります。茅野市が実施した調査では、40〜70歳の男女60人が3ヶ月間週5回以上寒天を摂取したところ、体重・血糖値(ヘモグロビンA1c)・悪玉コレステロール・中性脂肪のいずれも低下したという結果が出ています。低カロリーで腹持ちがよく、料理への取り入れやすさも手伝って、あのブームは単なる流行では終わりませんでした。

毎年1月28日は、一度食卓から消えかけた寒天が再び脚光を浴びたその日を、産地が誇りをもって記念する日です。