温泉マークの日 (記念日 2月22日)
全国どこの温泉地でも目にする♨のマーク。この温泉マークが日本で最初に記録された場所が、群馬県安中市の磯部温泉です。万治4年(1661年)、近隣の村どうしの農地争いを裁くために江戸幕府が下した評決文「上野国碓氷郡上磯部村と中野谷村就野論裁断之覚」の添付地図に、磯部温泉を示す温泉記号が2つ描かれていました。専門家の調査によって、これが現存する日本最古の温泉記号と判明しています。農地争いの裁定書という無味乾燥な公文書が、図らずも♨の歴史的起源を証明する一級史料となったわけです。
磯部温泉は、日本三奇勝の一つに数えられる妙義山を望む碓氷川沿いに開けた温泉地です。泉質は塩化物・炭酸水素塩強塩温泉で泉温は52.6℃。江戸時代には中山道を往来する旅人や湯治客で賑わい、天明3年(1783年)の浅間山大噴火の際には湧出量がさらに増加したと伝えられています。肌がなめらかになる効能が知られ、現在も多くの宿が碓氷川沿いに立ち並んでいます。
2月22日が「温泉マークの日」に選ばれたのは、語呂合わせの妙があります。温泉マークの3本の曲線を逆から見ると数字の「2」が3つ並んでいるように見えること、そして風情・風景・風味という温泉地らしい3つの言葉の頭文字「ふ(=2)」を3つ重ねた日付であることが由来です。記念日は磯部温泉組合の申請のもと、一般社団法人・日本記念日協会が認定・登録しました。
6月下旬から9月中旬には磯部簗で鮎を使ったさまざまな料理を楽しめます。土産には鉱泉水仕込みでサクサクとした食感の磯部せんべいが昔からの定番です。湯と食と、360年以上前から刻まれた記号の歴史が一つの温泉地に重なっています。