耳の日 (記念日 3月3日)
1887年3月3日、アラバマ州タスカンビア。列車で到着したアン・サリヴァンが7歳のヘレン・ケラーと初めて対面したその日こそ、ヘレン自身が後に「私の魂の誕生日」と呼んだ日でした。目が見えず、耳も聞こえず、言葉も話せない三重苦の少女と、根気強い家庭教師との格闘が始まったこの3月3日は、偶然にも電話の発明者アレクサンダー・グラハム・ベルの誕生日(1847年)でもあります。ベルの母と妻はともに聴覚に障害があり、聴覚と言語の研究への強い動機がありました。電話の発明はその研究の副産物ともいわれており、「耳」と深く結びついた人生を送った人物です。
3月3日が「耳の日」になったのは、「み(3)み(3)」という語呂合わせが由来です。1956年(昭和31年)に一般社団法人・日本耳鼻咽喉科学会が制定しました。同学会は1893年(明治26年)に創立された日本最古の医学専門学会のひとつで、耳の衛生に関する知識を広め、聴覚障害の予防や治療への理解を深めることを目的としています。
語呂合わせという単純な発想の裏に、ヘレン・ケラーとサリヴァン先生の邂逅、そしてベルの誕生日という二つの歴史的な事実が重なっているのは、単なる偶然とは思えないほどです。「耳」をめぐる人類の歩みが、この一日に凝縮されているともいえます。
「耳」にまつわる記念日は3月3日だけではありません。6月6日は「補聴器の日」(6が耳の形に似ていることから)、9月9日は「人工内耳の日」(9が耳の形に似ていることから)と制定されており、聴覚に関連した記念日が年間を通じて設けられています。耳の日を機に、日ごろ意識しにくい聴覚の健康について改めて考えてみるのもよいでしょう。