結納の日 (記念日 3月3日)
三々九度という儀式をご存じでしょうか。神前式で新郎新婦が三つ組の盃でお神酒を交互に飲み交わし、夫婦の契りを結ぶ儀式です。「三」と「九」はいずれも古代中国の陰陽思想における「陽の数」であり、そのめでたい数字が重なる3月9日が「結納の日」として制定されました。全国結納品組合連合会(全結連)が、結納品の素晴らしさをPRする目的で定めたものです。
結納(ゆいのう)とは、将来の結婚が決まった際に両家が品物を取り交わす日本固有の習慣です。「結」んで「納」める、という字が示すとおり、両家が親族として結びつくことを祝い、贈り物を納め合う儀式を指します。本来は帯や着物地に熨斗起物(のしきもの)を添えて贈るものでしたが、現代では結納金や婚約記念品として指輪や時計を贈るかたちが主流になっています。結婚式の3〜6ヶ月前に行うのが一般的です。
三三九度の起源は室町時代にさかのぼります。当時の武家礼法から始まった本膳料理の席で、酒宴の冒頭に「式三献(しきさんこん)」と呼ばれる主人と客が盃を交わす酒礼が行われていました。これが江戸時代に庶民へ広がり、婚礼の儀式として定着していきます。小・中・大の三つ組盃で、1つの盃につき三度ずつ、計九度お神酒を飲み交わすこの儀式は「三献の儀(さんこんのぎ)」とも呼ばれ、「一生苦楽を共にする」という誓いを象徴します。結納の品としては「九品目」を揃えるのが正式とされてきました。目録、熨斗、末広(扇子)、友白髪(麻)、子生婦(昆布)、寿留女(するめ)、家内喜多留(清酒)、勝男節(鰹節)、結美和(指輪)などがその例で、それぞれに縁起を担いだ意味が込められています。これらを美しく飾り付けた結納品を専門に取り扱うのが、全結連が束ねる事業者たちです。
近年は「略式結納」や結納を省略した「顔合わせ食事会」を選ぶカップルが増え、伝統的な形式の結納は減少傾向にあります。それでも、品目一つ一つに込められた意味や、両家が正式に縁を結ぶという儀式の重みは変わりません。3月9日には、日本の婚礼文化が積み重ねてきた言葉と所作の豊かさを、あらためて振り返ってみてください。
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