金魚の日 (記念日 3月3日)

金魚の日

金魚が日本に伝わったのは室町時代のことですが、当初は将軍や貴族だけが楽しめる贅沢品でした。江戸時代に入ると養殖技術が各地で確立され、武士が副業として金魚を育てて市中に売り出すようになります。流通量が増えるにつれて価格は下がり、やがて庶民の暮らしにも金魚鉢が当たり前のように置かれるようになりました。金魚すくいが縁日の定番になったのも、この時代の大衆化があってこそです。

3月3日の雛祭りに金魚を一緒に飾る習慣が江戸時代にあったことにちなみ、日本鑑賞魚振興会がこの日を「金魚の日」と定めました。春の訪れを祝う場に、鮮やかな赤や白の金魚が添えられていた光景は、当時の人々にとって自然な季節の演出だったようです。

金魚はコイ科フナ属に分類され、フナの突然変異体を人の手で選び交配を重ねることで生まれた観賞魚です。原産地は中国で、学名「Carassius auratus」の「auratus」はラテン語で「金色の」を意味します。現在では出目金・琉金・らんちゅうなど形も色も多様な品種が存在します。国内の三大養殖地は奈良県大和郡山市・愛知県弥富市・東京都江戸川区で、いずれも150年以上の歴史を持ちます。大和郡山は金魚すくい用「小赤」の一大産地で、毎年全国金魚すくい選手権が開かれます。弥富は高級金魚の全品種を手がけ、市内に三つの金魚市場を持ち、繁忙期には週三回の競りが行われます。江戸川の「江戸川琉金」は筋肉質で病気に強いと評判で根強い人気があります。このほか熊本県長洲町や埼玉県加須市も産地として知られ、いずれの地も地域ブランドとして海外にも輸出されています。

俳句では夏の季語。雛祭りの席に映えた金魚が、夏祭りの縁日でも子どもたちを引きつける——日本の歳時記を静かに彩り続けています。