農山漁村女性の日 (記念日 3月10日)
日本の農業従事者のうち、女性が占める割合はおよそ5割にのぼる。田んぼを耕し、魚を水揚げし、山の恵みを採る現場を長年にわたって支えてきたのは、実は女性たちでした。にもかかわらず、その存在は長らく「労働力」としてではなく「家族の手伝い」として扱われ、地域の意思決定の場から遠ざけられてきた歴史がある。3月10日の「農山漁村女性の日」は、そうした見えにくい存在に光を当てることから生まれた記念日です。
日付の「10日」には、農閑期に女性だけが集い、知恵を分かち合う「女人講」の慣習が刻まれています。農村各地でひっそりと続けられてきたこの集いが、記念日の日付に根拠を与えています。
制定は1988年(昭和63年)。農林水産省の婦人・生活課が「農山漁村婦人の日」として創設し、農村女性の地位向上と社会参加を促すことを目的としました。数字の「10」には、農山漁村女性が持つ三つの力——知恵・技・経験——をトータルに発揮してほしいという願いも重ねられています。その後、時代の変化に合わせて「婦人」という言葉が見直され、1999年(平成11年)に現在の「農山漁村女性の日」へと改称されました。
農林水産省では毎年3月を中心に、全国各地でイベントや交流会を開催しています。女性農業者の取り組みを表彰する「未来につながる農業の表彰」、女性農業者が一堂に集まる「大きな農業女子の集い」、農産物の販売と交流を組み合わせた「農業女子フェア」など、現場の声を可視化する場が積み重ねられています。農村の女性たちが担ってきた役割を、社会全体が正しく認識するための機会として、この記念日は今も着実に根を張り続けています。