パンダ発見の日 (記念日 3月11日)
1869年3月11日、伝道のため中国・四川省を旅していたフランス人神父アルマン・ダヴィドは、ある民家で白と黒の毛皮を見せられました。それがジャイアントパンダとの、西洋人による最初の「出会い」です。ダヴィドはその毛皮の標本をパリの自然歴史博物館に送り、翌1870年に動物学者アルフォンス・ミレー・エドワードが詳細な研究を行い、「Ailuropoda melanoleuca」という学名を正式に命名しました。
この学名は古代ギリシャ語の合成語で、「Ailuropoda」は「猫」と「足」を組み合わせた語、「melanoleuca」は「黒白の」を意味します。足の形がネコに似ているという観察が、命名の根拠となりました。パンダという名称の語源にも諸説あり、ネパール語で「竹」を意味する「ポンヤ(ponya)」から「竹を食べるもの」に由来するという説と、「(五指を含む)手のひら」を意味する「パンジャ(panja)」に由来するという説が知られています。
パンダという概念は、ジャイアントパンダとレッサーパンダの2種をまとめた総称です。注意すべきは発見の順序で、先に西洋に知られたのはレッサーパンダのほうであり、最初に「パンダ」と呼ばれたのもレッサーパンダでした。ジャイアントパンダはその後に発見されたにもかかわらず、現在では「パンダ」といえばジャイアントパンダを指すのが一般的になっています。漢字で書く「熊猫」の「猫」の字も、もともとはレッサーパンダの特徴に由来しています。
中国本土では現在、ジャイアントパンダを「大熊猫」、レッサーパンダを「小熊猫」と区別して呼んでいます。一方、台湾では「猫熊」という呼び方が使われており、同じ動物でも漢字圏の中で表記が異なります。両種はいずれも中国大陸に生息し、ネコ目(食肉目)に属している点でも共通していますが、ジャイアントパンダはクマ科、レッサーパンダはレッサーパンダ科とそれぞれ異なる科に分類されます。ダヴィドが毛皮を目にした1869年3月11日は「パンダ発見の日」として記念日に定められており、一人の神父が布教の途上で偶然目にした毛皮が、動物学の歴史に新たな1ページを加え、世界中で愛されるジャイアントパンダの存在を西洋に伝えるきっかけとなりました。