ホームインスペクションの日 (記念日 3月14日)
住宅を購入するとき、外観だけでは見抜けない欠陥が潜んでいることがあります。ホームインスペクション(住宅診断)は、住宅診断士(ホームインスペクター)が屋根・外壁・室内・小屋裏・床下などを目視で診断し、劣化状況や欠陥の有無、修繕の時期とおおよその費用までをアドバイスする専門業務です。3月14日は「ホームインスペクションの日」。一般的な住宅1軒の診断にかかる平均時間が3時間14分であることから、NPO法人・日本ホームインスペクターズ協会が制定し、一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されました。
日本でホームインスペクションが法的に位置づけられたのは2018年施行の改正宅地建物取引業法からです。不動産仲介業者に対し、媒介契約時にホームインスペクション業者のあっせんを申し込むかどうか確認し、売買契約時には調査結果を書面で説明する義務が課せられました。ところが、その後数年間の実施率は中古住宅購入者全体の2割台にとどまり、「法改正後も普及が進まない」という批判が業界内で続いていました。
転機となったのは2024年4月の媒介契約約款改正です。不動産会社が建物状況調査をあっせん「無し」とする場合、その理由を書面に明記することが義務付けられました。この改正直後の2024年4〜6月の実施件数は前年同期比の約1.5倍に増加しています。「あっせんしなかった理由」を問われるプレッシャーが、業者の行動を変えつつあります。
ホームインスペクションの対象は購入前に限りません。売り出す前に自宅の状態を把握して適正価格を設定する「売主側インスペクション」や、居住中の定期点検としての活用も広がっています。費用の相場は一般的な戸建てで5〜7万円前後で、診断は目視が基本ですが、サーモグラフィや水分計などを用いる詳細診断も選択できます。欧米では住宅売買にホームインスペクションを組み込むことが商慣習として定着しており、米国では取引の8〜9割で実施されるとされています。日本は中古住宅の流通比率がもともと低く「新築信仰」が根強いため普及が遅れてきた背景がありますが、空き家問題や住宅ストックの有効活用が政策課題となる中、中古流通市場を健全化する手段としてホームインスペクションへの期待は高まっています。