ステンレス316Lジュエリーの日 (記念日 3月16日)
アクセサリーを身につけるたびに肌が赤くなる、かゆみが出る——金属アレルギーに悩む人は日本に1000万人以上いるとも言われています。その解決策として近年注目されているのが「ステンレス316L」という素材です。外科手術器具にも使われるこの特殊なステンレスは、なぜ金属アレルギーの人でも安心して身につけられるのでしょうか。
金属アレルギーの本質的な原因は、金属そのものではなく「金属イオン」にあります。汗や皮脂に含まれる弱酸性の成分が金属に触れると、金属の表面がわずかに溶け出してイオン化します。このイオンが皮膚のタンパク質と結合してアレルゲンとなり、免疫系が過剰反応することでアレルギー症状が引き起こされます。ニッケルや銅、コバルトはイオン化しやすく、アレルギーの原因として特に頻度が高い金属として知られています。
ステンレス316Lは、鉄を主成分としながらもクロム約17%、ニッケル約12%、そしてモリブデン約2〜3%を含む合金です。「L」はLow Carbon(低炭素)を意味し、炭素含有量を0.03%以下に抑えることで耐食性を高めています。鍵となるのはモリブデンの添加で、これにより金属表面に形成される「不動態被膜」と呼ばれる酸化クロムの薄い保護膜がより緻密で安定したものになります。この被膜が金属イオンの溶出をほぼ遮断するため、汗や体液にさらされても腐食が起きにくく、アレルギー反応のリスクが大幅に低下します。
一般的なステンレスであるSUS304との違いも重要です。304もクロムとニッケルを含む耐食性の高い素材ですが、モリブデンが添加されていないため316Lほど不動態被膜が安定しません。塩分を含む体液に長時間さらされるアクセサリー用途では、この差が実際の使用感に影響します。316Lは元々、海水など塩化物環境に強い素材として開発された経緯があり、生体適合性の高さから外科用ネジや医療器具にも採用されています。
3月16日は「ステンレス316Lジュエリーの日」です。京都市下京区に本社を置く株式会社瀧田が制定し、2022年(令和4年)に一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されました。日付は素材名「316」にちなんでいます。同社が運営するアクセサリーショップ「ネゴツィエット」では、この素材を中心にジュエリーを製作・販売しており、記念日にはステンレス316Lという素材の名前をより広く知ってもらうという目的が込められています。またこの日は同社が制定した「ネゴツィエットが金属アレルギーの事を知って欲しい日」でもあり、金属アレルギーへの理解促進と、悩む人への適切なサポートを願う気持ちも重なっています。
なお、ステンレス316Lはほとんどの人にとって安心して使える素材ですが、ニッケルを含むため重篤なニッケルアレルギーを持つ方には反応が出る場合もゼロではありません。金属アレルギーが心配な場合は皮膚科を受診し、パッチテストで自分のアレルゲンを確認した上で素材を選ぶことが最も確実な方法です。素材の知識を持つことが、自分に合ったアクセサリーを選ぶ第一歩になります。