理化学研究所創立の日 (記念日 3月20日)
2016年、元素周期表113番の新元素に「ニホニウム」という名前が付けられました。アジアで初めて元素に命名権を持つに至ったこの快挙を成し遂げたのが、理化学研究所(理研)です。1917年(大正6年)3月20日、東京・本駒込に創立されたこの組織は、日本の科学史そのものといっても過言ではありません。
創立のきっかけは1913年(大正2年)、タカジアスターゼやアドレナリンの発見・工業化で世界的名声を得た化学者・高峰譲吉が、日本にも国民科学研究所が必要だと訴えたことにあります。この提言を受け、渋沢栄一が設立者総代となり、皇室からの御下賜金・政府補助金・民間寄付を財源に理化学研究所が誕生しました。英語名「Institute of Physical and Chemical Research」の頭文字を取った「RIKEN」という略称は、現在も国際的に通用するブランドです。
創立後の理研は優秀な研究者を次々と輩出し、仁科芳雄の研究室は原子物理学の一大拠点となりました。後のノーベル賞受賞者・朝永振一郎や湯川秀樹も在籍しています。
組織形態は時代とともに変化しています。財団法人として出発した理研は1958年(昭和33年)に「理化学研究所法」に基づく特殊法人へと移行し、1957年から1966年にかけて本拠地を東京から埼玉県和光市へ移転しました。2003年には独立行政法人化され、2001年のノーベル化学賞受賞者・野依良治が理事長に就任しています。現在は国立研究開発法人として、和光・横浜・神戸を含む全国8拠点で活動しています。
2025年4月時点での常勤職員は3,538名、うち研究職は1,865名にのぼります。スーパーコンピュータ「富岳」の運用、がんや認知症に関する医学研究、量子コンピュータの開発など、理研が手がける領域は基礎科学から応用技術まで多岐にわたります。高峰譲吉が夢見た「日本の科学の拠点」は、100年以上を経た今も、世界と競い合いながらその使命を果たし続けています。