八幡浜ちゃんぽん記念日 (記念日 3月28日)
人口約3万5千人の愛媛県八幡浜市には、ちゃんぽんを出す店が約50軒あります。専門店はなく、どの店でも「メニューの一つ」としてごく普通に提供されており、スーパーで中華麺を買って自宅で作る市民も多い——それほどちゃんぽんが日常に溶け込んでいる町です。八幡浜ちゃんぽんの最大の特徴は、鶏ガラ・魚・昆布で引いた黄金色のスープです。豚骨ベースで白濁する長崎ちゃんぽんとは対照的に、あっさりとした風味で仕上げられます。具材には魚の町らしく、地元特産の蒲鉾やじゃこ天などの水産練り製品が使われます。現存する最古の提供店は1948年(昭和23年)創業とされており、戦後の復興期から市民の食卓を支えてきた歴史があります。
八幡浜市は佐田岬半島の付け根に位置する港町で、古くから九州・関西との海上交易が盛んでした。その交易を通じて各地の食文化が入り込みやすい土壌があり、ちゃんぽんもその流れの中で根づいたと考えられています。メニューにはなくても頼めば作ってくれる店があるほど、ちゃんぽんは店と客の間で当たり前のものとして扱われています。
この食文化に着目したのが、八幡浜商工会議所青年部です。人口減少と地場産業の衰退を背景に「八幡浜ちゃんぽんプロジェクト」を立ち上げ、2007年(平成19年)に独自の「八幡浜ちゃんぽん記念日」を制定しました。市内の店や町の情報を詰め込んだガイドブック『八幡浜ちゃんぽんバイブル』を刊行するなど、知名度向上を積極的に進めました。
市もこれに呼応する形で取り組みを本格化させます。商工観光課にちゃんぽん係長を配置し、八幡浜ちゃんぽん振興条例を制定。旧八幡浜市と旧保内町が合併して現在の八幡浜市が発足した2005年(平成17年)3月28日にちなみ、3月28日を記念日の日付に定めました。2017年(平成29年)には一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されています。