ジャパニーズウイスキーの日 (記念日 4月1日)

ジャパニーズウイスキーの日

2001年、スコットランド産を抑えてニッカウヰスキーの「シングルカスク余市10年」がワールド・ウイスキー・アワードで世界最高得点を獲得したとき、業界に衝撃が走りました。本場の誇りをかけて競い合う国際コンペティションで、わずか70年余りの歴史しか持たないジャパニーズウイスキーが頂点に立ったのです。4月1日は、その礎を作った「ジャパニーズウイスキーの日」です。1929年(昭和4年)4月1日、サントリーの前身・寿屋の創業者である鳥井信治郎が「サントリーウヲスキー」を発売しました。「白札」の愛称で知られるこの製品は、日本初の本格国産ウイスキーです。鳥井は「日本人の味覚に合ったウイスキーをつくる」という信念のもと、1923年に京都・山崎の地に日本初のウイスキー蒸留所を建設。当時スコットランドで本場の製造技術を学んでいた竹鶴政孝を招き入れ、国産化への挑戦を本格化させました。発売から約6年の歳月が、この一本に込められています。

ただし、白札の評判は当初から芳しいものではありませんでした。スコッチに親しんでいた当時の消費者には「スモーキーすぎる」と敬遠され、売れ行きは振るわなかったといいます。それでも鳥井は製造を続け、1937年発売の「角瓶」がようやく日本人の口に合うウイスキーとして広く受け入れられました。失敗から学んで磨き続けるという姿勢が、後のジャパニーズウイスキーの品質主義を形づくったと言えます。

一方、竹鶴政孝は1934年に寿屋を離れ、北海道余市に自らの蒸留所を設立します。後のニッカウヰスキーです。スコットランドに地形・気候が似た余市の環境は、スモーキーなモルトウイスキーの熟成に適しており、竹鶴が理想とするスタイルに近づける地として選ばれました。こうして日本のウイスキー産業は、鳥井と竹鶴という二人の先人によって二つの流れが形成され、互いに切磋琢磨しながら発展してきました。現在、「白札」の系譜を引く「サントリーホワイト」は2019年に発売90周年を迎え、定番商品として今も販売が続いています。

2015年には「山崎シングルモルト シェリーカスク2013」がウイスキーバイブルで世界最高賞を受賞し、世界的なジャパニーズウイスキーブームが本格化。国内では入手困難な銘柄が続出するほどの人気となりました。4月1日の「ジャパニーズウイスキーの日」は、そうした世界的評価の出発点となった一本の発売日を、改めて歴史の文脈で振り返る機会です。