コンビーフの日 (記念日 4月6日)

コンビーフの日

コンビーフの缶詰といえば、あの独特の台形が目印です。1875年(明治8年)のこの日、その台形の缶——「枕缶」とも呼ばれる形状——がアメリカで特許登録されました。それがコンビーフの日の由来です。

「コンビーフ(corned beef)」の「コーン」は、現代英語ではトウモロコシを指しますが、もともとイギリス英語では穀物全般や粒状のものを意味していました。「コーンド」とは、岩塩を砕いた粒状の粗塩で肉を漬け込むことを指します。つまりコンビーフの正体は、塩漬けにした牛肉の保存食です。欧米ではブロック肉のままで食べるのが一般的で、缶に入ってほぐした状態が定番という日本のイメージとはずいぶん異なります。

日本で「コンビーフ=台形の缶」という印象が定着したのには理由があります。缶を台形にすると、面積の広い底面から肉を詰めていくことで缶内の空気が自然に抜けていきます。酸化を防いで保存性を高める工夫が、あの独特の形に込められているのです。また日本では、近世の枕箱に形が似ていることから「枕缶」という呼び名が生まれました。

国産コンビーフの歴史も興味深いです。1948年(昭和23年)に野崎産業株式会社の食品部門が国産コンビーフの市販を初めて開始し、1950年(昭和25年)には同社(現:川商フーズ株式会社)が国産初のコンビーフ缶詰を発売しました。今日スーパーで見かける「ノザキのコンビーフ」はその流れを汲む商品です。

缶詰の形ひとつに、保存技術の工夫と長い歴史が詰まっています。長期航海や軍の携行食として生まれた保存食が、特許取得から150年以上を経て今も食卓に並んでいるのは、その実用性の高さの表れといえます。次にコンビーフを手に取ったとき、あの台形がなぜ生まれたのかを思い出してみてください。