春の全国交通安全運動 (週間・月間 4月6日から4月15日)
昭和45年(1970年)、交通事故による死者数は1万6,765人——「交通戦争」と呼ばれた時代です。
運動の起源は1948年(昭和23年)にさかのぼります。国家地方警察本部長官通達に基づいて始まったこの取り組みは、当初は警察主導の啓発活動でした。その後、自動車の急速な普及とそれに伴う事故の増加を受け、1962年(昭和37年)からは政府の重要施策として交通対策本部が運営の中心を担うようになりました。毎年4月6日から15日の10日間、そして9月21日から30日の「秋の全国交通安全運動」と合わせ、年2回の全国規模の運動として定着しています。
現在の運動は、内閣府・警察庁をはじめ文部科学省・国土交通省など10府省庁が連携して推進しています。重点事項は社会状況に応じて毎年見直されており、近年はこどもの通学路における安全確保、スマートフォンを操作しながらの「ながらスマホ」根絶、自転車や電動キックボードのヘルメット着用・交通ルール遵守といった課題が前面に出ています。かつての「車と歩行者」という単純な構図から、多様な交通手段が混在する現代の道路事情を反映した内容へと変化しています。
ひとつ注目すべき例外があります。4年に1度の統一地方選挙の年には、選挙活動との競合を避けるため、春の運動期間が5月11日から20日に変更されます。これに伴い、「交通事故死ゼロを目指す日」も通常の4月10日から5月20日へとずれます。直近では2023年(令和5年)がこれに該当し、2027年も選挙年にあたります。
交通事故死者数は、ピーク時の1万6,765人から2022年(令和4年)には2,610人まで減少しました。半世紀以上にわたる運動の積み重ねと、道路インフラの整備・車両安全技術の向上が組み合わさった結果です。ただし、高齢歩行者の事故や自転車関連の死傷事故は依然として深刻で、運動の意義が薄れているわけではありません。毎年春に街頭で見かける黄色い旗や啓発活動の背景には、この長い歴史があります。