灌仏会・花祭り (年中行事 4月8日)

灌仏会・花祭り

「天上天下唯我独尊」——釈迦が誕生直後に7歩歩み、右手を天に、左手を地に向けて発したとされる言葉です。灌仏会(かんぶつえ)は、この伝説とともに語り継がれてきた、釈迦の誕生を祝う仏教行事で、毎年4月8日に全国の寺院で営まれます。一般には「花祭り(はなまつり)」の名で親しまれており、ほかにも「降誕会(ごうたんえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」「浴仏会(よくぶつえ)」といった呼び名があります。日本では仏教伝来とほぼ同時期から行われてきた歴史があり、地域や寺院によっては月遅れの5月8日に行う場合もあります。

行事の中心となるのが「花御堂(はなみどう)」と呼ばれる小さな堂です。色とりどりの花で飾られたこの堂は、釈迦が生まれたとされるルンビニの花園を模しており、中央に釈迦の立像を安置します。参拝者はひしゃくで御像に甘茶を注ぎかけます。甘茶はアマチャという植物の葉を発酵・乾燥させて作ったもので、自然な甘みがあります。これをかける習わしは、釈迦が誕生した際に9つの竜が天から清浄の水を注いで産湯を使わせたという伝説に由来しています。釈迦の誕生地とされるルンビニは、現在のネパール南部、インドとの国境に近い地に位置します。釈迦が産湯に使ったとされる池や、紀元前3世紀に仏教を保護したマウリヤ朝のアショーカ王が巡礼の際に建立した石柱が現存しており、1997年(平成9年)にユネスコの世界文化遺産に登録されました。仏教の四大聖地のひとつに数えられ、現在も世界各地から巡礼者が訪れます。

「天上天下唯我独尊」は、「この世に生まれた全ての人間はそれぞれ尊い目的を持つ」と解釈されることが多い言葉です。釈迦は母マーヤーの右脇から生まれたとも伝わります。