補綴(ほてつ)の日 (記念日 4月12日)
紀元前2000年から1000年ごろ、イタリア半島中部に栄えたエトルリア人の墓地から、入れ歯が発掘されています。人類は3000年以上前から歯を失う悩みを抱え、それを補う知恵を持っていたのです。日本でも奈良時代にはすでに入れ歯があったとされており、補綴歯科は決して近代になって生まれた技術ではありません。「補綴(ほてつ)」とは、歯や顎が一部欠けたり失われたりした場合に、冠・クラウン・入れ歯(義歯)・インプラントといった人工物で補う治療のことを指します。歯を失う原因は虫歯や歯周病だけでなく、事故による外傷や加齢による骨の変化など多岐にわたります。読み方も書き方も医療関係者以外にはなじみが薄い言葉ですが、実際には非常に多くの人が何らかの形で補綴治療を受けています。
「うまく噛めない」「はっきりしゃべれない」「見た目が気になる」――こうした問題を解決するのが、現代の補綴歯科治療の役割です。噛む力が回復すると食べられるものの幅が広がり、栄養状態の改善につながります。特に高齢者においては、咀嚼機能の低下が低栄養や認知機能の衰えと関連することが指摘されており、補綴治療による噛む力の維持が健康長寿に直結するとされています。会話や笑顔が増えることで活動意欲も高まり、生活の質(QOL)全体にわたる効果が期待できます。
4月12日は「補綴の日」です。4を「ほ(フォー)」、12を「て(テン)つ(ツー)」と読む語呂合わせで制定されました。公益社団法人・日本補綴歯科学会が提唱し、2020年(令和2年)に日本記念日協会が認定・登録しています。「補綴」という言葉を多くの人に知ってもらい、歯の健康を見直すきっかけにすることが、この記念日の目的です。