飼育の日 (記念日 4月19日)
動物園や水族館の飼育係は、動物の世話をするだけではありません。餌の調達・調理、健康管理、行動観察の記録、展示スペースの清掃、来園者向けのイベント進行まで、一頭の動物の「生活全体」を担います。毎日同じ時間に同じ動物と向き合うことで、わずかな体調の変化を見抜く観察眼が磨かれていきます。4月19日の「飼育の日」は、こうした仕事の多様さと専門性を社会に伝えるために生まれた記念日です。
「飼育の日」を制定したのは、公益社団法人・日本動物園水族館協会(JAZA)で、2009年(平成21年)のことです。日付は「し(4)い(1)く(9)」の語呂合わせ。もともとは東京動物園協会が管理する多摩動物公園が発案したもので、2020年(令和2年)に日本記念日協会が正式に認定・登録しました。この日には多摩動物公園・上野動物園・葛西臨海水族園・井の頭自然文化園などの都立施設を中心に、飼育係の仕事を体験できるプログラムやイベントが実施されます。
JAZAに加盟する施設は2017年(平成29年)4月1日時点で動物園89・水族館60の計149園館にのぼります。それだけの施設で飼育係が支えている動物の種類と頭数は膨大で、なかには国内での繁殖例がほとんどない希少種も含まれます。JAZAが掲げる目的の一つが「希少動物の保護・繁殖」であり、飼育係は単なる世話係ではなく、種の保存に直接かかわる専門職でもあります。
職業としての飼育員の平均年収はおよそ343万円とされており、日本の全職種平均と比べると低めです。公営施設であれば地方公務員として採用されるため安定した昇給が見込めますが、民間施設では240万〜300万円台からのスタートが多く、給与水準は施設によってかなり差があります。人気職種であるため求人に対して応募者が多く、競争倍率が高いことも知られています。特定の法律上の必須資格はないものの、動物取扱責任者の資格取得を求める施設が増えており、実務経験と資格の両方が重視される傾向にあります。
動物園を「生きた動物を飼育・研究し、一般に公開する施設」と定義するなら、飼育係の仕事は研究と公開の両輪を支える要です。記念日をきっかけに施設を訪れた際には、展示の見せ方や動物の配置の工夫にも目を向けてみると、飼育係の仕事の奥行きが少し見えてくるかもしれません。