拾得物の日 (記念日 4月25日)

拾得物の日

昭和55年(1980年)4月25日、東京・銀座3丁目の昭和通り路上で、トラック運転手の大貫久男さんが風呂敷包みを発見しました。中身を確認すると、日本銀行の帯封がついたままの現金1億円。警察に届け出たところ、6か月の公告期間を経ても落とし主は現れず、翌11月11日に1億円の所有権が大貫さんのものとなりました。受け取りの日、大貫さんが着ていたのは黄色の防弾チョッキにジョギングパンツというスタイルでした。脅迫や中傷が相次いでいたためで、自宅では日本刀まで手にして身構えていたといいます。路上での「拾い物」が、これほどまで物騒な話になるとは、当時だれも想像しなかったことでしょう。

遺失物法の規定では、拾得物は一定期間の公告後に落とし主が現れなければ、拾い主に所有権が移ります。ただし一時所得として課税対象になるため、大貫さんは1億円のうち約3,400万円を所得税として納付しています。手取りは実質6,600万円ほどでした。

そのうち約3,690万円でマンションを購入し、残りを貯金。「夢のような話」に見えますが、納税・購入・貯金と終えれば、残高はそれほど多くありません。「1億円を拾った男」として注目を集めながら、生活自体は穏やかなものだったとされています。大貫さんは2000年に62歳で亡くなりました。

なぜ落とし主が名乗り出なかったのかも長らく謎でした。後年の報道では、当時「政界の暴れん坊」と呼ばれた人物が関係していた可能性が取り沙汰されています。

この出来事にちなみ、4月25日は「拾得物の日」とされています。現在の遺失物法では、拾得物の公告期間は3か月で、落とし主が現れない場合は拾い主が所有権を取得できます。ただし現金の場合、落とし主への報労金(5〜20%)を差し引いた額が対象です。現実には1億円規模の拾得物が生じることはほぼありませんが、路上で財布を拾った際の手続きのよりどころとなる法律です。