絆の日 (記念日 4月27日)
「絆」という言葉はもともと、馬・犬・鷹などの家畜をつなぎとめるための綱を指していました。自由を束縛する紐のことを「ほだし(絆し)」と呼び、人の心や行動の自由を縛るもの、妨げるものという意味でも使われていました。現在のような温かい響きとはかなり異なる出自を持つ言葉です。
平安末期の歌謡集『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』には「御厩の隅なる飼ひ猿は絆離れてさぞ遊ぶ」という歌が残っています。お馬小屋の片隅につながれた猿が、綱を離れて自由に遊んでいる様子を詠んだもので、ここでの「絆」は文字通り動物をつなぐ綱の意味です。語源については「騎綱(きづな)」「頸綱(くびつな)」「引綱の上略」など複数の説があり、いずれも動物を繋ぎとめる綱という点で共通しています。この言葉が転じて、断とうにも断ち切れない人と人との結びつきを意味するようになり、さらに支え合いや助け合いのニュアンスを持つようになったのは比較的近年のことです。
4月27日は「絆の日」です。兵庫県神戸市に本社を置く株式会社アート・ファーマーが制定しました。「絆」は社会を支える上での基本的なものとして、その重要性を広く社会にアピールすることが目的です。日本記念日協会に登録されている記念日です。
日付の由来は二つあります。一つは、忘れな草とも書く勿忘草(ワスレナグサ)が最盛期を迎える季節であることから4月が選ばれました。勿忘草はヨーロッパ原産のムラサキ科の植物で、小さな青い花をつけます。「絆を忘れないように」という思いと、忘れないことを名前に持つ花が重ねられています。もう一つは「きづ(2)な(7)」と読む語呂合わせで27日が選ばれました。勿忘草は4月27日の誕生花でもあります。
「絆」という漢字は「糸」と「半」で構成されています。半分ずつ持ち合う糸、つまり二者をつなぐものという構造を字形に見ることができます。かつての束縛の意から、今日の温かな結びつきへ——一つの言葉が歩んできた意味の変遷は、それ自体が人と人の関係の変化を映し出しています。