ナポリタンの日 (記念日 4月29日)
ナポリタンに「ナポリ」という名前はついていますが、イタリアのナポリとは縁もゆかりがありません。生まれは日本、横浜のホテルニューグランドです。戦後、GHQに接収されたホテルで米兵たちが軍用保存食のスパゲッティにトマトケチャップをかけて食べているのを目にした2代目総料理長・入江茂忠が、その姿にヒントを得て考案したのが「スパゲッティ ナポリタン」の始まりです。生トマトや水煮トマト、トマトペーストをベースにした本格的なソースが使われた当時のレシピと、やがて全国のレストランや喫茶店で広まっていくトマトケチャップ炒めとでは、味わいがかなり異なっています。
トマトケチャップ自体はアメリカ生まれで、日本には明治時代に伝わったとされています。だが、スパゲッティとケチャップを組み合わせて「ナポリタン」という料理に仕立て上げたのは、まぎれもなく日本人の発想です。ウインナーソーセージ、タマネギ、ピーマンという定番の組み合わせに、仕上げのタバスコと粉チーズ。昭和の喫茶店文化と深く結びつきながら、独自の進化を遂げてきた一皿です。
この「昭和生まれの洋食」を称えるべく誕生したのが、4月29日の「ナポリタンの日」です。愛知県名古屋市に本社を置くカゴメ株式会社が制定し、2017年に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。翌2018年より実施されています。日付に選ばれた4月29日は国民の祝日「昭和の日」で、ナポリタンが昭和に生まれた日本の洋食であることと重ねています。
記念日制定と同じ2017年には、もうひとつ興味深い出来事がありました。
同年4月29日に幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議」にて、ナポリタンをこよなく愛する妖精「ナポリたん」が誕生しています。出身地は日本、好きな食べ物は肉・魚・野菜、行ってみたい場所はイタリアというプロフィールを持つキャラクターで、「みんなのおなかをナポリタンでいっぱいにする」ことを目的に活動しています。昭和の日という同じ日に、記念日と妖精の両方が同時に産声を上げたことになります。
長年にわたって日本の家庭や喫茶店で愛されてきたナポリタンは、いまや「昭和レトロ」の象徴としても再評価されています。ケチャップの甘みと酸味、鉄板で焦げたウインナーの香ばしさは、食べた人の記憶に焼きつく味です。イタリアにはない、日本だけのスパゲッティが、毎年4月29日に改めて脚光を浴びています。