学力鑑定士の日 (記念日 4月30日)
学力を「鑑定する」という発想は、不動産や宝石の鑑定と同様に、専門家が客観的な基準で価値を評価・証明するという考え方から生まれました。学力鑑定士とは、その名のとおり学力全般を専門的に評価・鑑定する職能であり、英語力・数学力・国語力など各教科の専門家を「基礎学力鑑定士」と呼びます。学力鑑定研究所がこの制度をホームページで公開した日付を記念して制定されたのが「学力鑑定士の日」です。現代の日本では、英語であればTOEICやTOEFL、数学では数学検定(実用数学技能検定)、国語では漢字検定など、学力を可視化するための試験が広く普及しています。しかしこれらの試験があくまで「点数」という形でスキルを示すのに対し、学力鑑定士の制度が目指したのは、生涯をかけて蓄積した「知の財産」そのものを保障・証明するという、より踏み込んだ概念でした。
「知の財産を守る」という表現は、生涯学習の観点からも興味深い視点を提供します。日本では高齢化社会が進む中、定年後も学び続ける人が増えており、その学習成果をどう社会に示すかは切実な課題となっています。学力鑑定士の構想は、学習者が積み上げてきた知識や能力を社会的に認証・保障するという、現代の「マイクロクレデンシャル」や「オープンバッジ」の考え方に先行する問題意識を持っていたとも言えます。
不動産鑑定士や宝石鑑定士のように、特定分野の価値を専門的に評価する職能は社会に広く根付いています。同様の論理を学力・知識の領域へ応用しようとした学力鑑定士の発想は、教育と資格評価の新しい可能性を模索するものでした。特定の試験スコアではなく、個人が積み上げてきた学習の総体を「財産」として客観的に鑑定し、その価値を社会に対して証明するという制度設計は、教育評価の在り方に一石を投じるものです。
なお、学力鑑定研究所のホームページは2019年(平成31年)4月時点でリンク切れとなっており、制度の詳細や現在の活動状況については確認が取れない状況にあります。しかしながら、「学力を鑑定する専門家」という概念そのものは、生涯学習・資格社会・学習成果の可視化という今日的なテーマと深く結びついており、その問いかけは色あせていません。
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