子どもに本を贈る日 (記念日 5月5日)

子どもに本を贈る日

全国学校図書館協議会が毎年実施する「学校読書調査」(2024年度)によると、1ヶ月間に1冊も本を読まない「不読者」の割合は小学生で約9.6%、中学生で約24.2%、高校生では55.7%に達しています。スマートフォンやタブレットの普及が進むにつれ、子どもたちが活字と向き合う時間は年々減少しており、読書文化の継承は現代日本が直面する課題のひとつとなっています。

「子どもに本を贈る日」は、出版取次大手の株式会社トーハンが制定した記念日です。5月5日の「こどもの日」にちなんで設けられており、毎年この日を中心に全国の書店でキャンペーンが展開されます。トーハンは東京都新宿区東五軒町に本社を置き、出版社と書店の間をつなぐ流通業者として国内の出版流通を支えています。本という贈り物を通じて、子どもと読書の関係を結び直すことがこの記念日の根幹にあります。

2000年(平成12年)5月5日、国立国際子ども図書館が開館し、同年は国会の決議によって「子ども読書年」に指定されました。

さらに2005年(平成17年)には「文字・活字文化振興法」が制定・施行されました。同法は、文字や活字を通じて伝えられてきた知識・文化・思想を次世代へ継承するため、読書活動の振興を国・地方公共団体・学校・民間の責務として明確に位置づけています。制定・施行から5周年を迎えた2010年(平成22年)には「国民読書年」が設けられ、官民一体での読書推進活動が一層活発に行われました。

文化庁が2023年度に実施した「国語に関する世論調査」では、1か月に1冊も本を読まない成人が62.6%に上り、それまで4割台で推移していた数値が大幅に増加したことが明らかになっています。読書から離れる理由として最も多く挙げられたのは「情報機器の利用で時間が取られる」(43.6%)であり、スマートフォンやSNSとの競合が読書時間の圧迫要因となっている実態が浮かび上がっています。こうした状況は子どもにとっても同様であり、習慣的な読書が定着しにくい環境が広がっています。

「子どもに本を贈る日」は、単なる商業的なキャンペーンにとどまらず、本を手渡すという行為を通じて読書の価値を再認識させる機会として機能しています。子どもの頃に本と出会う体験は、語彙力や読解力の基盤を形成するだけでなく、想像力や思考力を育む土台ともなります。記念日を契機に書店へ足を運び、子どもへの一冊を選ぶ時間を持つことが、読書文化の継承への具体的な一歩となります。