ラッキーゾーンの日 (記念日 5月26日)

ラッキーゾーンの日

1947年(昭和22年)5月26日、甲子園球場に日本初のラッキーゾーンが設置されました。外野フィールドが広大なため打球がなかなかスタンドに届かず、ホームランが極端に少ないという課題がありました。戦後の混乱期を脱しつつあったプロ野球界は、観客を熱狂させるホームランを増やすことで人気回復を図る必要があり、ラッキーゾーンはその切り札として導入されました。

ラッキーゾーンとは、外野の本来のフェンスより手前に設けられた縄張りや金網のことです。打球がそのゾーン内に落ちればホームランと認定されるため、実質的にホームランの距離を短縮する効果がありました。設置当初の甲子園の外野は現在の球場と比べても格段に広く、通常の打球ではとうていスタンドに届かない構造でした。ラッキーゾーンの設置によって本塁打数は大幅に増加し、興行的な成功を収めました。

この試みは甲子園にとどまらず、明治神宮野球場や阪急西宮球場など他の球場にも波及しました。各球場が独自のラッキーゾーンを設けるようになり、プロ野球のホームラン数は増加の一途をたどりました。一方でアメリカの野球場でも、広大な外野フィールドを持つ球場においてフェンス位置の変更は頻繁に行われており、日本独自の発想ではなく当時の野球界の共通的な課題への対応でもありました。

しかし時代が進むにつれ、状況は大きく変わっていきました。選手の体格が向上し、バットやボールの製造技術も飛躍的に改良されたことで、ラッキーゾーンがなくても本塁打が量産できる環境が整ってきたのです。ラッキーゾーンはむしろ外野守備の妨げになる、あるいは自然なプレーを損なうといった見方もされるようになり、撤去の機運が高まりました。甲子園球場のラッキーゾーンは1991年(平成3年)12月5日に撤去され、設置から約44年の歴史に幕を閉じました。現在の甲子園の外野フェンスはラッキーゾーン撤去後の広さを維持しており、高校野球の聖地としての風格ある姿は、かつてホームランを人工的に生み出す仕掛けがあったとは想像しにくいほどです。