金毘羅の縁日 (年中行事 毎月10日)
毎月10日は金毘羅(こんぴら)の縁日です。なかでも一年最初の1月10日は「初金毘羅(はつこんぴら)」と呼ばれ、特別な霊験があると古くから信じられてきました。
金刀比羅宮(ことひらぐう)が鎮座するのは、香川県琴平町の象頭山(ぞうずさん)中腹。主祭神は大物主神(おおものぬしのかみ)で、海上交通の守り神として漁師や船員から厚い信仰を集めてきました。江戸時代に入ると船による流通が飛躍的に拡大し、海運業者や商人たちが全国へ「金比羅信仰」を広めました。大きな港を見下ろす山上に分社が置かれるようになったのはこのためで、現在も各地の港町に金刀比羅神社の名が残っています。
「初金毘羅」の起源は江戸中期、第115代・桜町天皇の御代(1735〜1747年)にさかのぼると伝わります。この日に参詣すると一年間の加護が得られるとの言い伝えが広まり、全国から多くの参詣者が集まるようになりました。金刀比羅宮では毎年1月10日に「初十日祭」を執り行い、八少女舞(やおとめのまい)の奉納が行われます。境内では開運ぜんざいや開運甘酒のふるまいもあり、厳粛な祭事と庶民的な賑わいが共存しています。
縁日が「毎月10日」に固定されているのは、金毘羅権現との結びつきによるものです。仏教では「金毘羅(Kumbhīra)」は薬師如来の十二神将のひとつ、宮毘羅大将(くびらたいしょう)に相当し、守護と海の神の性格を持つと解釈されてきました。神仏習合の時代を通じてその信仰は深く根付き、明治の神仏分離令以後も「こんぴらさん」の呼び名とともに親しまれ続けています。金刀比羅宮の参道は本宮まで785段、奥社まで1,368段の石段で知られ、現在では日本全国に約600社の分社が存在します。1月10日の初金毘羅は、新年最初の縁日として今もその伝統が守られています。