4月1日開始 大阪狭山・河内長野の共同下水道管理、全国初ウォーターPPP3.5
ベストカレンダー編集部
2026年2月21日 09:42
南大阪下水道共同発注
開催期間:4月1日〜3月31日
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南大阪で始まる共同発注──全国初のウォーターPPPレベル3.5案件が動き出す
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:平居義幸)は、藤野興業株式会社を代表企業とする8者による共同企業体「南大阪広域下水道サービス」を結成し、大阪狭山市および河内長野市が共同で公募した下水道の包括的維持管理業務を受託しました。契約は2026年2月19日付で締結され、契約締結式は河内長野市役所で行われました。
今回の案件は、下水道分野において国が進める広域連携の動きに先駆けた取り組みであり、全国で初めての形態となる水の官民連携(ウォーターPPP)レベル3.5に該当する共同発注案件です。契約期間は原則10年(2026年4月1日〜2036年3月31日)で、両市の管路・下水道施設を一括して管理・更新することを目的としています。
契約締結式の概要と出席者
契約締結式は2026年2月19日に河内長野市役所で実施され、出席者は両市の首長および共同企業体代表ほか関係者が参列しました。前列左に大阪狭山市の古川照人市長、前列右に河内長野市の西野修平市長、前列中に共同企業体「南大阪広域下水道サービス」代表企業である藤野興業株式会社の藤野正勝社長が並び、その後列に共同企業体を構成する企業各社が続きます。
この式典は、両市が10年以上にわたって実施してきた包括的民間委託の実績を踏まえつつ、更なる効率化とサービスの統一を目指す共同発注の出発点として位置づけられます。参加企業の役割や各市が期待する成果についても改めて共有されました。
共同企業体「南大阪広域下水道サービス」の構成と積水化学の役割
本案件の受託者は8者による共同企業体「南大阪広域下水道サービス」です。代表企業は藤野興業株式会社で、構成企業は次のとおりです。
- 藤野興業株式会社(代表企業)
- 積水化学工業株式会社
- 管清工業株式会社
- 株式会社日水コン
- クリアウォーターOSAKA株式会社
- 株式会社日本インシーク
- 株式会社カンキョウ
- 石垣メンテナンス株式会社
積水化学は現地事務所に主任技術者を配置し、日常的維持管理業務を主体として担当するとともに、業務全体のマネジメント支援を行います。これによりJV各社と協力しながら効率的に業務を進め、これまでの下水道管路PPPにおける実績とノウハウを活用して事業の遂行にあたります。
参加企業それぞれが専門領域で機能を発揮する体制を取り、維持管理・改築工事・計画策定・運転管理など多岐にわたる業務を分担して実施します。こうした体制は両市の下水道サービスレベルを統一し、老朽化対策や運用効率化を図ることを目的としています。
構成企業の主な位置づけ(業務分担の想定)
共同企業体は各社の専門性を活用して、維持管理・調査・設計・工事・運転管理までの一体的な体制を整えます。積水化学は下水道管路更生工法等の施工力と技術ノウハウを提供し、管路の更生や改築工事における技術的リードを担う役割が期待されています。
そのほか、設計や調査、日常点検・維持管理、ポンプ場やマンホールポンプの維持管理等の分野において各社が連携し、長期的な事業運営を支える体制を構築します。
業務の範囲と契約条件──対象区域・施設・具体的業務一覧
本案件は大阪狭山市と河内長野市が共同で公募した包括的維持管理業務で、契約期間は2026年4月1日から2036年3月31日までの10年間です。両市の下水道施設全体を対象とし、維持管理と改築を一体的にマネジメントする点が特徴です。
対象となる実施場所および対象施設は次の通り明示されています。大阪狭山市については市内全域の下水道施設が対象となり、河内長野市については大和川下流南部流域関連公共下水道(狭山処理区)、特定環境保全公共下水道(日野地区及び高瀬地区)、および特定環境保全公共下水道(滝畑処理区)を含む、河内長野市が所管する下水道管路施設および下水道施設全てが対象です。
| 項目 | 大阪狭山市 | 河内長野市 |
|---|---|---|
| 実施場所 | 市内全域 | 大和川下流南部流域関連公共下水道(狭山処理区)、特定環境保全公共下水道(日野・高瀬地区)、特定環境保全公共下水道(滝畑処理区) |
| 対象施設 | 大阪狭山市が所管する下水道施設全て | 河内長野市が所管する下水道管路施設及び下水道施設全て |
| 契約期間 | 2026年4月1日~2036年3月31日(10年間) | |
主要な業務内容(大阪狭山市・河内長野市別の詳細)
両市で要求される業務内容は幅広く、日常的な維持管理から計画的維持管理、実施設計、改築工事、運転管理に至るまで多岐にわたります。下表は発表された業務内容の要点です。
- 大阪狭山市:統括管理業務、日常的維持管理業務、計画的維持管理、ポンプ場およびマンホールポンプ維持管理、計画策定、実施設計・改築工事等
- 河内長野市:統括管理業務、下水道事業計画等変更業務、管路に関する日常的・計画的維持管理、管路調査、実施設計・改築工事、公共汚水ます設置及び改築承諾調査、施設維持管理、運転管理等
これらの業務は、維持管理と更新(改築)を一体的にマネジメントするアプローチのもとで実施されることが明示されています。契約期間中にはプロフィットシェア等を活用し、両市のサービスレベルの統一化も進められます。
特に河内長野市側では管路調査や実施設計(管路施設)、公共汚水ます設置に関する承諾調査など、より細かな現地対応が求められる項目が並んでいます。
レベル3.5の位置づけと比較──「水の官民連携(ウォーターPPP)」の定義
今回の案件は、下水道分野における「水の官民連携(ウォーターPPP)」のうち、管理・更新一体マネジメント方式に位置づけられるレベル3.5にあたります。レベル3.5はレベル4(コンセッション方式)と並ぶウォーターPPPの一形態ですが、実務上の要件に特徴があります。
発表資料ではレベル3.5の実務上の定義として次の4項目が挙げられています。すべてを充足する民間委託がレベル3.5とされています。
- 長期契約(原則10年)
- 性能発注
- 維持管理と更新の一体的マネジメント
- プロフィットシェア
レベル4(コンセッション方式)との比較では、長期契約・性能発注・維持管理と更新の一体的マネジメントという点は共通または類似していますが、公共施設等運営権設定と利用料金直接収受の有無、そして事業期間の柔軟性などで相違があります。レベル4は利用料金の直接収受などにより事業期間の自由度が高い一方で、レベル3.5は自治体と連携した範囲内での長期的な管理・更新を重視する方式です。
本件は、10年という契約期間やプロフィットシェアの導入など、レベル3.5が定める要件を満たした設計となっています。これにより、維持管理の効率化と更新の計画的実施を両立させる狙いが示されています。
参考情報と関連リンク
プレスリリースでは参考資料として以下のリンクが提示されています。事業の背景や国の方針、技術的な考え方についてはこれらの公的資料も参照することができます。
- 積水化学のウォーターPPP(管路包括)紹介
- https://www.eslontimes.com/
- 内閣府:PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)概要
- https://www8.cao.go.jp/pfi/actionplan/pdf/water_gaiyou.pdf
- 国土交通省:下水道分野におけるレベル3.5の考え方
- https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001634307.pdf
これらは事業の制度的背景や運用上の考え方を把握するうえで有用な資料です。またプレスリリースにはダウンロード可能な画像ファイル等が添付されている旨の案内も含まれています。
要点整理(表形式)
以下に本件の主要項目を表で整理します。契約の基本情報、対象範囲、共同企業体の構成、業務内容といった要点を一目で確認できるようにまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表主体 | 積水化学工業株式会社(環境・ライフラインカンパニー) |
| 発表日時 | 2026年2月20日 11:00(契約締結:2026年2月19日) |
| 契約名称 | 大阪狭山市公共下水道施設包括的維持管理業務(第3期)及び河内長野市下水道施設包括的管理業務 |
| 受託者 | 8者による共同企業体「南大阪広域下水道サービス」(藤野興業(代表)、積水化学、管清工業、日水コン、クリアウォーターOSAKA、日本インシーク、カンキョウ、石垣メンテナンス) |
| 実施場所 | 大阪狭山市(市内全域)、河内長野市(大和川下流南部流域関連公共下水道(狭山処理区)、日野地区・高瀬地区・滝畑処理区等) |
| 対象施設 | 両市が所管する下水道管路施設および下水道施設全て |
| 契約期間 | 2026年4月1日~2036年3月31日(10年間) |
| 主な業務 | 統括管理、日常的・計画的維持管理、計画策定、管路調査、実施設計、改築工事、ポンプ場維持管理、運転管理、公共汚水ます設置等 |
| PPPレベル | 水の官民連携(ウォーターPPP) レベル3.5(長期契約、性能発注、維持管理と更新の一体マネジメント、プロフィットシェア) |
| 参考リンク | https://www.eslontimes.com/、内閣府・国土交通省の関連資料 |
契約の締結により、両市の下水道サービスは統一化と効率化に向けた長期的な運営設計の段階へ移行します。維持管理と更新を一体で計画・実行する仕組みは、老朽化対策とサービスレベルの向上を同時に追求する点でこれまでの短期的な委託とは異なる特徴を持ちます。今回の共同発注は、地域間連携による効率化モデルとして注目されます。