三菱電機とNanoQT、4月24日より量子コンピューター接続技術の実証実験開始
ベストカレンダー編集部
2025年4月25日 09:45
量子通信実証実験
開催期間:4月24日〜3月31日

三菱電機とNanofiber Quantum Technologiesが共同実証実験を開始
2025年4月24日、三菱電機株式会社(以下、三菱電機)と株式会社Nanofiber Quantum Technologies(以下、NanoQT)は、中性原子型量子コンピューター間の高速かつ大容量通信を実現する接続技術の確立に向けた共同実証実験を開始しました。この実証実験は、2026年3月31日までの期間で行われ、状況に応じて延長される可能性もあります。
中性原子型量子コンピューターは、光ピンセットによる原子の配列制御と高集積化が可能であり、量子ビット数の大規模化において優位性を持っています。しかし、単一システムで効率的に制御可能な量子ビット数には物理的な制限があり、実用的な大規模量子コンピューターの実装には、複数の量子コンピューターを接続し、量子計算で扱うことのできる量子ビット数を拡張する技術の確立が不可欠です。

実証実験の概要
本実証実験では、三菱電機が持つ高度な量子ビット制御技術と、NanoQTが持つYb原子とナノファイバー共振器を組み合わせた技術に基づく光量子インターフェースを開発します。このインターフェースにより、中性Yb原子型量子コンピューター同士の高効率な接続技術の実証に取り組むことが目指されています。
ナノファイバー共振器を用いることで、光子と原子の相互作用を強化し、量子コンピューター間通信に用いる量子もつれの高効率な生成が可能になります。また、ナノファイバー共振器に複数のYb原子を格納し、量子もつれの共有を並列化させることで、三菱電機が持つ量子ビット制御技術を組み合わせ、高速かつ大容量な量子コンピューター間通信の実現を目指します。
共同実証実験の詳細
実証実験の具体的な内容としては、以下の要素が含まれます。
- 期間:2025年4月24日から2026年3月31日(状況により延長あり)
- 内容:量子ビット制御技術とナノファイバー共振器技術の組み合わせによる、中性原子型量子コンピューター向け光量子インターフェースの基盤技術の開発
各社の役割
本実証実験における各社の役割は次の通りです。
- 三菱電機:
- 光ピンセットを用いて中性原子の量子ビットの配列を制御する技術の開発
- NanoQT:
- 中性原子型量子コンピューターとナノファイバー共振器の統合技術開発
期待される成果と今後の展望
複数の量子コンピューターを接続することで、演算能力が飛躍的に向上し、新薬候補物質の探索や革新的な機能性材料の開発、航空機や自動車の設計に不可欠な流体シミュレーションの高速化など、幅広い分野における技術革新への貢献が期待されています。
三菱電機とNanoQTは、早期にプロトタイプの完成を目指し、大規模量子計算の実現に向けた技術基盤の確立を進めていく方針です。量子ビット制御装置のプロトタイプ早期完成を目指し、実証実験を進めることで、ナノファイバー共振器を介した量子状態転送の高効率化と制御技術の確立に取り組みます。また、将来的には産業界の実問題解決に適用可能な分散型量子コンピューティング基盤の確立を目指しています。
まとめ
三菱電機とNanofiber Quantum Technologiesによる共同実証実験は、量子コンピューター間の通信技術を革新する重要なステップです。以下の表に、実証実験の要点をまとめます。
項目 | 詳細 |
---|---|
実施期間 | 2025年4月24日~2026年3月31日(状況により延長あり) |
目的 | 中性原子型量子コンピューター間の接続技術の確立 |
主な技術 | 量子ビット制御技術、ナノファイバー共振器技術 |
各社の役割 | 三菱電機:量子ビットの配列制御技術の開発 NanoQT:中性原子型量子コンピューターとナノファイバー共振器の統合技術開発 |
期待される成果 | 量子コンピューター間の高速かつ大容量通信の実現、幅広い分野での技術革新への貢献 |
この共同実証実験は、量子コンピューターの未来に向けた重要な一歩であり、今後の進展が注目されます。
参考リンク: