大阪万博開幕で此花区の平均時給が急上昇、求人市場に大きな変化

万博エリアの平均時給が1年間で18.19％増加

2025年5月1日、株式会社フロッグは「2025年4月度 大阪・関西万博×求人市場レポート」を発表しました。このレポートでは、万博開催が周辺地域の求人市場に与える影響について詳しく分析されています。特に、大阪市此花区における平均時給の上昇や求人数の変化が注目されています。

万博は2025年4月13日（日）に開幕し、世界各国から多くの来場者が訪れることが期待されています。これに伴い、観光やインバウンド需要の拡大が見込まれ、会場内の高時給求人が話題となっています。今回のレポートでは、万博開催が周辺地域の平均時給や求人数にどのような影響を与えているのかを調査しています。

大阪市此花区の平均時給の推移

大阪市此花区の平均時給は、万博開催準備が本格化した2025年1月に前年同月比で225円（18.19％）の上昇を記録しました。この伸び率は全国の市区町村で1位であり、他の地域と比較しても顕著な増加を示しています。

具体的には、2024年4月の平均時給は、此花区で1,229円、大阪市全体で1,219円でしたが、2025年1月には此花区が1,462円に達し、大阪市平均の1,286円を大きく上回りました。このような時給の上昇は、万博会場が位置する此花区に特有の現象であることが明らかになっています。

全国平均との比較

大阪市此花区の平均時給の増加は、全国的な平均と比較しても際立っています。全国市区町村平均の増加率が4.82％であるのに対し、此花区は18.19％の増加を記録し、他の地域と比べて圧倒的な上昇を見せました。さらに、都道府県別で見ると、大阪府全体の平均時給増加率は2.94％と最下位であり、万博開催による影響は此花区に限られていることがわかります。

万博関連求人の影響

万博関連の求人市場において、大阪市此花区では求人数が急増しています。2024年12月には求人数が399件から1,747件に増加し、その大半が万博関連の求人でした。特に、シンテイ警備株式会社が提供するイベントスタッフの案件が多数出稿されており、日給下限が14,500円（時給換算で約1,812円）と高単価の求人が目立ちました。

しかし、万博関連求人は2024年12月をピークに減少傾向にあり、2025年4月時点では27件にまで縮小しています。これは万博開幕前に必要な人員を確保したためと考えられますが、今後の気温上昇や熱中症対策のための人手確保が求められることから、再び求人が増加する可能性があります。

飲食業界の賃金動向

大阪市此花区における飲食業界の求人も注目されています。「万博」をキーワードに含まない求人でも、平均時給が上昇しており、2024年4月を100とした場合、2024年12月、2025年2月、3月には全国平均を2～3ポイント、東京平均を3～4ポイント上回る賃金増加が見られました。これは、万博開催に伴う周辺需要の拡大や人手不足が影響していると考えられます。

調査概要とデータの信頼性

このレポートは、株式会社フロッグが収集した「イーアイデム」「バイトル」「マイナビバイト」などの求人情報を基にしています。集計対象期間は2023年1月1日から2025年4月7日までで、アルバイトやパートの求人が対象となっています。

求人情報の給与項目は数値に変換され、下限の金額を合算して平均値を算出しています。また、職種分類は独自のキーワードマッピング処理に基づいて行われ、外れ値処理も施されています。これにより、データの信頼性が確保されています。

株式会社フロッグの概要

株式会社フロッグは、求人ビッグデータ事業を展開しており、全国150以上のサイトから40億件以上の求人データを保有しています。人材業界のマーケティング調査や採用市場分析など、幅広い業界のお客様に利用されています。設立は2021年で、東京都千代田区に本社を構えています。

まとめ

大阪・関西万博の開催により、特に大阪市此花区では平均時給が大幅に上昇し、求人市場にも変化が見られました。しかし、大阪府全体では目立った影響はなく、万博関連求人はピークを過ぎて減少傾向にあります。今後、熱中症対策のための人手確保や、夏休みシーズンに向けた求人の動向にも注目が必要です。

以上の情報をもとに、大阪・関西万博が求人市場に与える影響について理解を深めることができるでしょう。今後の動向にも注目が集まります。