NTK、第一三共への損害賠償請求を7月11日に約2,000億円へ増額

損害賠償請求増額

開催日:7月11日

なんでNTKが第一三共を訴えてるの?
NTKは第一三共が自社の公開買付を妨害したとして、損害賠償を求めています。
損害賠償額がどれくらい増えたの?
損害賠償額は当初の200億円から約2,000億円に増額されました。

IHHの間接子会社NTK、第一三共に対する損害賠償請求額を約10倍に増額

2025年5月21日、世界最大級の病院グループであるIHH Healthcare Berhad(本社:マレーシア、以下「IHH」)の間接子会社であるNorthern TK Venture Pte Ltd.(本社:シンガポール、以下「NTK」)は、第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「第一三共」)に対して提起した損害賠償請求訴訟において、請求額を約10倍に増額する申立てを行ったことを発表しました。この発表は、マレーシアおよびシンガポールの2つの証券取引所で行われました。

これにより、NTKが第一三共に対して請求する損害賠償額は、当初の200億円(約6億3,400万リンギット)から、約2,000億円(約57億リンギット)へと増額されることとなります。本訴訟は、NTKによるFortis Healthcare Limited(以下「FHL」)およびその子会社であるFortis Malar Hospitals Limited(以下「FMHL」)の公開買付による株式取得の完遂を第一三共が妨害したとして、NTKが損害賠償の支払い等を求めるものです。

損害賠償請求額の変更の背景

当初、NTKは第一三共に対し、損害賠償として200億円に加え、年利3%の遅延利息の支払いを求めていました。その後、2025年2月6日付の準備書面とともに、NTKが任命した外部専門家による専門家報告書(以下「OP報告書」)を東京地方裁判所に提出しました。この報告書には、第一三共が公開買付を妨害せず、公開買付が当初の予定通り実施されていた場合の損害分析が含まれています。

OP報告書によると、NTKが第一三共に対して求める賠償額は、仮説シナリオによって異なり、最小で42.4億インドルピー(約2億リンギット、約78億円)から、最大で1,093億インドルピー(約57億リンギット、約1,998億円)となります。この最大額は、2023年11月14日付の声明文で示された当初の200億円を大幅に上回る金額です。NTKは、OP報告書に基づき、名誉・信用毀損による損失を加えた約2,000億円を新たな損害賠償額として算出しました。

訴訟に至った経緯

この訴訟は、2018年に遡ります。当時、IHHはFHLが実施した投資誘致の入札プロセスで落札者となり、NTKはFHLの一般株主に対する公開買付を実施する必要がありました。しかし、第一三共は、NTKが公開買付を実施しようとした際に不当に妨害し、買収の完了を阻止したとされています。これにより、NTKは多大な損害を被ったと主張しています。

2018年12月、NTKによる公開買付の完了前に、第一三共はIHHおよびNTKに通知することなく、一方的にインド最高裁判所から暫定現状維持命令を取得しました。この行為により、NTKの公開買付が進まなくなったとされています。第一三共は、インドの製薬会社ランバクシー・ラボラトリーズの買収に関連して、長年にわたりシン兄弟と紛争状態にありましたが、NTKはシン兄弟とは何らの関係もないと主張しています。

IHHとNTKのインドにおける取り組み

IHHとNTKは、2000年以降、インドの医療環境の変化に対応するために投資を行ってきました。特に、都市化や所得の増加に伴い、質の高い医療への需要が高まっています。IHHグループは、2018年7月にFHLを買収し、インドでのプレゼンスを拡大しました。これにより、IHHはインドで2番目に大きな民間病院ネットワークを持つFHLの株主となり、インドを主要市場の一つとして位置づけました。

FHLの再建に向けて、IHHはNTKを通じて約400億インドルピーの資本を注入し、28の病院からなる強力な医療ネットワークを構築しました。このネットワークは、質の高い医療サービスを提供し、国民の健康を支えることを目指しています。IHHのインドにおける長期戦略は、持続可能な成長を追求し、質の高い医療サービスの提供を強化することです。

まとめ

項目 内容
損害賠償請求額 約2,000億円(約57億リンギット)
当初の請求額 200億円(約6億3,400万リンギット)
訴訟提起日 未定
次回弁論準備手続期日 2025年7月11日
公開買付の実施 第一三共による妨害により未実施

このように、IHHおよびNTKは、第一三共との訴訟を通じて、インドにおける医療サービスの提供を強化し、未解決の医療ニーズに応えることを目指しています。今後の進展に注目が集まります。

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