TISとKort Valutaが5月22日から決済システム内製化に向けた共同開発を開始

決済システム内製化

開催日:5月22日

決済システム内製化
TISとKort Valutaが共同開発する目的は何?
TISとKort Valutaは、決済システムの内製化を目指して共同開発を開始しました。これにより、キャッシュレス社会への貢献を目指しています。
Kort Valutaのクラウド化プロジェクトの完了予定はいつ?
Kort Valutaのクラウド化プロジェクトの完了予定は2026年の夏頃です。その後、システム運用の内製化を進めます。

TISとKort Valuta、決済システムの内製化に向けた共同開発を開始

2025年5月22日、TISインテックグループのTIS株式会社と株式会社Kort Valutaは、決済システムの内製化を実現するための共同開発を開始したことを発表しました。この取り組みは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を基盤としたクラウド型の決済オーソリゼーションシステムの実現を目指しています。

共同開発において、TISはオーソリゼーションシステムや高レジリエンスシステム開発の豊富な知見とノウハウを提供し、Kort Valutaは自身の決済事業運営ノウハウと利用者視点のサービス開発を担います。これにより、決済事業者のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しし、キャッシュレス社会への貢献を目指します。

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背景と課題

日本国内では、キャッシュレス決済の普及が堅調に進んでおり、特にクレジットカードが決済手段の8割以上を占めています。クレジットカードを利用する際には、店舗がクレジットカード会社に対し、利用者の与信情報を照会し、決済が可能かどうかを確認するオーソリゼーションシステムが稼働しています。このシステムには、高度な可用性と信頼性が求められます。

しかし、従来のオーソリゼーションシステムは多くの場合、高価な専用ハードウェアを必要とするレガシーアーキテクチャを使用しており、個別のシステム開発やメンテナンスが必要です。これにより、多くの決済事業者は新たな決済サービスの事業展開スピードに課題を抱え、オーソリゼーションシステムを運用するための人材やコストの硬直化も問題となっています。

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Kort Valutaの取り組み

Kort Valutaは、企業や団体向けに「ID Tech」をコンセプトとしたVisaプリペイドカードの発行および決済プラットフォーム「TwooCa」を提供するFinTech企業です。「TwooCa」のカード決済システムは、一部に他社サービス(SaaS)を利用していましたが、独自カスタマイズの制約などの課題に直面していました。

Kort Valutaは、給与デジタルマネー払いへの参画やステーブルコインの発行などの新規事業を推進する中で、機能拡張の柔軟性やレジリエンスの向上を目指し、レガシーアーキテクチャのオーソリゼーションシステムを刷新し、システム運用を全て内製化することを決定しました。

共同開発の概要

この共同開発では、Kort Valutaのオーソリゼーションシステムのクラウド化とシステム運用の内製化を実現するために、AWSジャパンの技術支援のもと、TISが開発を後押しします。目標は、2026年夏頃の内製化です。

TISは、独自に検証したソフトウェアスタック「Lerna」を活用し、ミッションクリティカルかつ高スループットが求められる決済オーソリゼーション処理をAWSクラウド上で実現します。Lernaは、分散SQLデータベースTiDBをはじめとするオープンソースソフトウェア(OSS)を活用しており、高価なサーバを購入せずに高可用性とスループットを実現可能です。

検証結果と今後の展開

TISで設定したシナリオに基づく検証結果では、高い可用性とスループットが実現されています。Kort Valutaは、自社の技術力をベースにTISのナレッジを掛け合わせ、決済システムの内製化を進めます。また、Kort Valutaが掲げる「分散型社会の実装」というビジョンの実現に向け、「TwooCa」の決済システムをクラウド化する大幅なシステム更改を行い、システム運用の内製化により自社のエンジニアリング能力を強化します。

TISは、共同開発が終了した2026年9月以降、Kort Valuta向けに開発したオーソリゼーションシステムを基に、新たな機能を独自に追加した「クラウド型オーソリサービス」として他のFinTech事業者や決済事業者へ展開していく予定です。このサービスは、Visa以外のブランドへの対応や、プリペイドカード、デビットカード、クレジットカードなど、さまざまな支払手段に対応します。

「TwooCa」とTIS株式会社について

「TwooCa」は、電子決済や社員間送金、福利厚生ポイントの付与、経費精算といった機能を備えたVisa決済機能付き社員証です。企業の課題に応じて機能やサービスのカスタマイズも可能です。

TIS株式会社は、金融、産業、公共、流通サービス分野など多様な業種3,000社以上のビジネスパートナーとして、顧客の経営課題に向き合い、「成長戦略を支えるためのIT」を提供しています。50年以上にわたり培ってきた業界知識やIT構築力を活かし、日本・ASEAN地域の社会と共創するITサービスを提供し、豊かな社会の実現を目指しています。

まとめ

項目 内容
共同開発企業 TIS株式会社、株式会社Kort Valuta
目的 決済システムの内製化とクラウド型オーソリゼーションの実現
基盤 AWSクラウド
目標時期 2026年夏頃の内製化
システム名 Lerna
サービス展開 2026年9月以降にクラウド型オーソリサービスを展開

このように、TISとKort Valutaの共同開発は、キャッシュレス決済のさらなる進化を目指す重要な取り組みです。両社の技術力を結集し、今後の展開に期待が寄せられています。

参考リンク: