2025年5月27日発表:企業が中高年支援より若手優先の実態と中高年が求める成長機会とは
ベストカレンダー編集部
2025年5月27日 14:26
中高年キャリア調査発表
開催日:5月27日
中高年支援の現状と企業の意識
ニューホライズンコレクティブ合同会社は、2025年5月27日に中高年(40歳~65歳)を対象とした「中高年の社外交流とキャリア意識」に関する調査を実施しました。この調査は、企業における中高年層のキャリア支援の実態を明らかにすることを目的としています。調査結果からは、企業が中高年層の支援に取り組んでいる一方で、実際に満足している中高年社員は半数以下であることが浮き彫りとなりました。
特に、企業の約7割がキャリアサポートにおいて「若手支援」を優先しているとの結果が出ており、中高年層への支援が後手に回っている現状が明らかになりました。この背景には、企業が若手を将来の投資先と見なす一方で、中高年層の支援に対する意識が低いことが影響していると考えられます。
中高年社員のキャリア意識と企業のギャップ
調査によると、40歳以上の約6割が「社外交流が減ってきている」と感じている一方、社外交流を経験した多くの中高年社員は「刺激を受けた」「視野が広がった」と回答しています。これは、社外交流が中高年層の自己成長に寄与する重要な要素であることを示しています。
企業側の回答では、7割以上が中高年のキャリアサポートに対して「とても満足している」または「やや満足している」と回答していますが、中高年社員の実際の満足度は半数以下にとどまっています。このギャップは、企業が提供する制度と中高年社員が実感する支援の間に存在するズレを示しています。
企業の支援施策と中高年のニーズ
具体的に中高年社員が満足していない点としては、以下のような項目が挙げられます:
- キャリアについて相談できる機会が少ない(33.6%)
- 社外との交流や学びの機会が少ない(30.7%)
- 異動や新しい挑戦の機会が限られている(28.2%)
これらの結果から、中高年社員は「制度が存在するかどうか」ではなく、「実際に自分が機会を得られているか」「主体的に成長できる場が開かれているか」を重視していることがわかります。企業が中高年層のキャリア支援において直面している課題は、制度の整備だけでなく、実際に社員がその支援を活用できる環境を整えることにあると言えるでしょう。
キャリアビジョンにおける認識の違い
中高年社員と企業の間でキャリアビジョンに関する認識はおおむね一致しています。中高年社員のキャリア観としては「プレーヤーとして活躍し続ける」が最も多く、企業側も同様の認識を持っています。しかし、キャリアに対する期待や求めている機会については明確な違いが見られました。
人事担当者・経営者が考える中高年層が求めるものとしては、「若手人材への裁量拡大・権限譲渡(36.1%)」や「社内でのコミュニケーションの充実(35.9%)」が挙げられました。一方で、中高年自身は「自身の業務におけるスキルアップ(34.1%)」や「社外との交流・ネットワークづくり(31.8%)」を求めています。このことから、企業は中高年層の成長を支援するために、より外向きの機会を提供する必要があることが示唆されます。
中高年キャリアサポートの障壁
調査では、中高年層キャリアサポートを進める上での社内の障壁として、以下のような点が挙げられました:
- 社内ノウハウの不足(39.0%)
- 中高年社員自身の意識が低い(38.8%)
- リソース不足(36.9%)
これらの障壁を克服するためには、企業内での知識共有や中高年社員への意識改革が不可欠です。また、リソースを適切に配分し、中高年層への支援を強化することが求められています。
中高年キャリア支援の新たなアプローチ
ニューホライズンコレクティブ合同会社が運営する「越境キャリアドック」は、中高年層のキャリア形成を支援するプログラムです。このプログラムは、参加者が自身のキャリアビジョンを明確にし、行動計画を策定するためのサポートを提供します。具体的な内容は以下の通りです:
- ガイダンス動画の視聴
- キャリアワークショップの実施
- 個別キャリア面談の実施
- 企業フィードバックの提供(オプション)
- フォロープログラムの提供
このようなプログラムを通じて、中高年社員が主体的にキャリアを形成し、成長できる環境を整えることが企業にとっての課題となっています。
まとめ:中高年支援に必要な「つなぐ力」
今回の調査からは、企業が中高年層のキャリア支援に取り組んでいる一方で、中高年社員の満足度が低いというギャップが明らかになりました。企業の支援が実際に中高年社員に届いていない現状を踏まえ、支援の「見える化」や「使える化」が求められています。
中高年層の支援は、単なる人事施策ではなく、企業全体の人的資本戦略として捉えられるべきです。今後は、企業と中高年社員がつながりながら進めるキャリア形成を軸に、支援の再設計と新たな実装が期待されます。
| 調査項目 | 結果 |
|---|---|
| 中高年社員の社外交流の実感 | 約6割が減少を実感 |
| 企業のキャリアサポートに対する社員満足度 | 半数以下が満足していない |
| 中高年社員が求める支援内容 | スキルアップ、社外交流の機会 |
| 企業が優先する支援対象 | 約7割が若手支援を優先 |
| 中高年支援の障壁 | 社内ノウハウ不足や意識の低さ |
中高年層のキャリア支援は、今後ますます重要なテーマとなるでしょう。企業が中高年社員のニーズを理解し、適切な支援を提供することで、彼らの成長を促進することが期待されます。
参考リンク: