6/17開催「Co-Design Challenge Pitch #2」社会課題に挑む3社の共創発表

Co-Design Challenge Pitch #2

開催日:6月17日

Co-Design Challenge Pitch #2
Co-Design Challengeって何のためにやってるの?
Co-Design Challengeは2025年大阪・関西万博を契機に多様なプレイヤーが共創し、社会課題解決や未来のくらしをデザインするためのプログラムです。
第2回のイベントではどんな企業がどんな取り組みを発表したの?
エイチ・ツー・オーの森の循環促進ベンチ、金森合金の災害廃材活用サインスタンド、甲子化学工業のホタテ貝殻アップサイクルヘルメットなど3社が発表しました。

「Co-Design Challenge Pitch #2」イベントレポート

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、新たな「これからの日本のくらし」を考えるための「Co-Design Challenge」(CDC)プログラムが2022年から展開されています。第2回目の「Co-Design Challenge Pitch #2」は、2025年6月17日(火)に万博会場内のフューチャーライフヴィレッジ(FLV)で開催されました。このイベントでは、参加事業者が社会課題の解決に向けたアプローチやプロダクトに込めた想いを発表しました。

ナビゲーターには、CDCに参加した服部滋樹氏と内田友紀氏が迎えられ、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社、株式会社金森合金、甲子化学工業株式会社の3社が登壇しました。それぞれの事業者は、直面する社会課題やそれに応えるためのプロダクト、万博終了後の展望について語りました。

<「Co-Design Challenge Pitch #2」イベントレポート>「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」――これからの日本のくらしをつくる22の挑戦―― 画像 2

CDCプログラムの背景と目的

CDCプログラムは、万博を契機に様々な人々との共創を通じて、未来社会の実験場としての役割を果たすことを目指しています。服部氏は「CDCの取り組みは、万博を契機に未来社会の実験場として始まりました。中小企業の参加を促すことで、クリエイターと共に社会実験を進めることがコンセプトです」と説明しました。

内田氏は「社会にとってデザインとは何か」という問いを提起し、「新たなモノづくりの場では、横断的な取り組みが必要です」とその意義を強調しました。CDCは、2023年には共創でプロダクトを製作し、2024年には地域への誘客を目的とした取り組みを新たに加え、プロジェクトを進めています。

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登壇者の紹介

第2回の登壇者は、以下の3社です。

  • エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社
    • プロダクト名: 想うベンチ
    • コンセプト: 樹のためのデザイン
    • 設置場所: 「静けさの森」
  • 株式会社金森合金
    • プロダクト名: サインスタンド
    • コンセプト: 災害廃材を活用した循環型ものづくり
  • 甲子化学工業株式会社
    • プロダクト名: ホタメット(ヘルメット)
    • コンセプト: ホタテ貝の貝殻をアップサイクル
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各事業者の発表内容

それぞれの登壇者が発表したプロダクトの内容とその背景について、以下に詳述します。

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エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社の「想うベンチ」

島本礼子氏が発表した「想うベンチ」は、大阪府内の材木を使用し、製材所と3人のデザイナーと共に作り上げたプロダクトです。デザイナーたちは、大阪の森を訪れ、命の存在感を感じ取り、「木も生き物である」という想いを込めて、3つのテーマで表現しました。

このプロダクトは、「大阪 森の循環促進プロジェクト」の一環としており、万博終了後も大阪府内の共有地に設置される予定です。島本氏は、「次の百年のために、もっと木や森に関心を持ってもらいたい」との意気込みを語りました。

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株式会社金森合金の循環型ものづくり

次に登壇した高下裕子氏は、金森合金の伝統的な砂型鋳造技術と循環型ものづくりについて説明しました。1714年に創業し、300年以上の歴史を持つ同社は、災害廃材の活用に取り組んでおり、能登半島地震の後、廃材を利用したプロダクトの開発に方針を切り替えました。

発表されたサインスタンドは、倒壊住宅から回収されたアルミサッシを使用しており、「記憶は紡がれ、人の記憶を呼び起こす変化の象徴」としての意味が込められています。高下氏は、鋳造の現場を体験しながら、新たな感性を生かした製品開発を進めています。

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甲子化学工業株式会社のホタテ貝のアップサイクル

最後に南原徹也氏が紹介したのは、ホタテ貝の貝殻をアップサイクルしたヘルメット「ホタメット」です。ホタテの貝殻は全国で毎年10万~20万トンも廃棄されており、これをエコ素材として利用する試みが進められています。

南原氏は、ホタメットの成功を受けて、貝殻を使ったベンチ「ホタベンチ」の開発にも着手しました。これにより、建設現場での良質な砂不足の問題にも対応しつつ、地域のホタテ産業を支援する取り組みを進めています。

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共創の未来を語るクロストーク

イベントの最後には、ナビゲーターと3事業者によるクロストークが行われました。島本氏は、「CDCだからチャレンジできた」と手応えを感じ、高下氏は「ものづくりの現場を訪れて、変化を楽しんでほしい」と語りました。

南原氏は、万博を通じて多くの協力者の支えを受けたことに感謝の意を表し、内田氏は「モノづくりの魅力と未来の姿を見せてもらった」と期待を述べました。服部氏は、「ヒントを得て、未来への解像度が一気に上がった」とまとめ、イベントは盛況のうちに終了しました。

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今後の予定とまとめ

次回の「Co-Design Challenge Pitch #3」は、2025年7月29日(火)に開催される予定です。ナビゲーターには齋藤精一氏と山出淳也氏を迎え、登壇事業者にはエースジャパン株式会社やテラサイクルジャパン合同会社などが予定されています。

今回のイベントを通じて、各事業者が取り組む社会課題の解決に向けたプロダクトの開発や、地域との共創の重要性が再確認されました。以下に、今回のイベントで紹介された内容をまとめます。

登壇者 プロダクト名 コンセプト 特徴
エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 想うベンチ 樹のためのデザイン 大阪府内の材木を使用、静けさの森に設置
株式会社金森合金 サインスタンド 災害廃材を活用した循環型ものづくり 能登半島地震の廃材を使用
甲子化学工業株式会社 ホタメット ホタテ貝の貝殻をアップサイクル エコ素材を使用したヘルメット

このように、CDCプログラムは新たな価値を生み出すための挑戦を続けており、今後の展開に期待が寄せられています。

参考リンク: