2025年6月22日発表 ダウン症胎児脳の新マーカー発見で個別化医療に前進
ベストカレンダー編集部
2025年6月22日 18:45
ダウン症胎児脳マーカー発見
開催日:6月22日

ダウン症個別化医療の新たな扉を開く発見
2025年6月22日、クリフム出生前診断クリニック院長である夫 律子医師を中心とした国際研究チームが、ダウン症候群の胎児脳における特徴的な形態学的マーカー「カモメサイン」と「菲薄化サブプレート」を世界で初めて発見した。この研究成果は、産婦人科学分野の権威あるジャーナル『American Journal of Obstetrics & Gynecology(AJOG)』に掲載され、発表後わずか数週間で同誌の「Most Read Articles Top 10」に選ばれるなど、注目を集めている。

臨床経験から生まれた科学的発見
研究チームの代表である夫 律子医師は、20年以上にわたる経腟3D胎児脳超音波検査の経験を通じて、ダウン症候群の胎児脳に共通して見られる特徴的な形に気づいていた。今回の研究では、76例のダウン症候群の胎児と772例のコントロール群との詳細な比較分析を行い、この「臨床的直感」を科学的に実証することに成功した。
この研究の成果は、ダウン症候群に対する理解を深めるだけでなく、個別化医療の重要性を再認識させるものとなった。特に、同じ診断名を持つ胎児でも、その特性や発達には個人差があることを示す重要なデータとなる。

カモメサインと菲薄化サブプレートの詳細
今回発見された「カモメサイン」と「菲薄化サブプレート」は、ダウン症候群の胎児に特有の形態マーカーである。
- カモメサイン: 妊娠17-21週の胎児脳を前方から見た際に、大脳半球がカモメが翼を広げたような独特の形を示す所見。興味深いことに、この所見は妊娠22週以降には自然に改善する傾向があり、脳の発達過程における一時的な変化であることが明らかになった。
- 菲薄化サブプレート: 胎児期にのみ存在する特殊な脳層であるサブプレートの厚さが薄いという所見で、妊娠30週まで持続的に観察された。
この2つのマーカーは、ダウン症の胎児において脳の形状や構造における特異性を示しており、今後の診断や治療において重要な指標となる可能性がある。

個別化医療への道筋
夫 律子医師は、「同じダウン症候群のある人でも、いろいろな分野で特殊な才能を発揮している人や、周囲のサポートを受けながら成長している人が多くいる」と述べている。現代医療の特徴である個別化医療の重要性を強調し、「ダウン症候群の出生前診断の現状は『ダウン症陽性、あるいは陰性』の二択しかなく、ダウン症のある胎児は一括りにされてしまう」と指摘する。
今回発見されたマーカーは、ダウン症候群の多様性を客観的に評価する手段となり、胎児期からの個別化医療の第一歩となる可能性がある。このようなアプローチは、患者一人一人に対して適切な医療を提供するための基盤を築くことに寄与する。

将来の胎児治療への期待
アメリカ国立衛生研究所(NIH)が推進する「INCLUDEプロジェクト」は、ダウン症候群の包括的研究と治療法開発を目指している。今回発見されたマーカーは、将来的な胎児治療の効果を評価する客観的指標として活用される可能性がある。
医療者は、一般的な表現から具体的な画像所見に基づいたカウンセリングへと進化し、より個別化された情報提供とサポートを胎児期から行うことが期待される。このような進展は、遺伝カウンセリングの質を向上させることにつながるだろう。

クリフム出生前診断クリニックの役割
クリフム出生前診断クリニックは、胎児ドックや胎児脳ドック、NIPT、絨毛検査、羊水検査など、出生前に行える検査を幅広く提供している。すべての胎児を対象に、院長である夫 律子医師が詳細な超音波検査を行い、形態学的な異常がないかを確認する。先天異常が予想される場合には、NIPTや絨毛検査、羊水検査などの提案を行い、妊婦やその家族に寄り添ったサポートを提供している。
発見されたマーカー | 説明 | 妊娠週数 |
---|---|---|
カモメサイン | 大脳半球がカモメが翼を広げたような形を示す所見 | 妊娠17-21週 |
菲薄化サブプレート | サブプレートの厚さが薄い所見 | 妊娠30週まで持続 |
この研究成果により、ダウン症候群に関する理解が深まり、個別化医療の実現に向けた一歩が踏み出された。今後の研究や治療法の発展に期待が寄せられる。
参考リンク: