2025年6月24日開催 日本製鉄株主総会で石炭投資拡大に懸念高まる
ベストカレンダー編集部
2025年6月24日 16:56
日本製鉄株主総会懸念
開催日:6月24日
日本製鉄の株主総会における石炭関連投資への懸念
2025年6月24日、日本製鉄の第101回定時株主総会が開催され、同社の気候変動対策に関する懸念が高まっています。この株主総会では、国際気候NGOであるスティールウォッチが「鉄と私たちの未来に石炭はいらない」というバナーを掲げ、投資家に向けて石炭依存の投資方針が抱えるリスクについての情報を提供しました。スティールウォッチのメンバーは、石炭の利用拡大がもたらすビジネスリスクや、気候変動対策の空白期間について強調しました。
日本製鉄は、先日USスチール社との買収契約を締結し、米国内の高炉6基の延命を約束しました。この動きは、同社の脱炭素計画と矛盾しており、株主たちからの批判を招いています。昨年の株主総会では、気候変動戦略に関する提案が初めて提出され、20〜30%の賛成票を得たものの、今年の株主総会に向けた具体的な改善は見られませんでした。
気候変動対策の後退とその影響
スティールウォッチのアジア担当のロジャー・スミスは、「日本製鉄はゼロエミッション達成を表明しているが、実際の行動は逆行している」と指摘しています。具体的には、USスチール社との取引確保のために新たな石炭利用の投資を約束したり、豪州での石炭採掘を拡張する計画が挙げられます。これにより、同社は座礁資産リスクを抱えることになると警告しています。
また、日本製鉄は排出量の計算方法を変更し、証書上のみの低排出鋼材、いわゆる「マスバランス」方式を導入しようとしています。この方法は、国際的な鉄鋼基準を弱める可能性があり、真の低排出鋼材を求める市場の需要を妨げる恐れがあります。
日本製鉄の排出量と将来の見通し
USスチール社の2023年の温室効果ガス総排出量は2951万トンに達しており、日本製鉄の2023年度の総排出量7650万トンと合わせると、年間1億トン以上の排出量となる見込みです。これは、同社が今後、世界最大かつ最も排出量の多い鉄鋼メーカーの一つになることを示唆しています。
日本製鉄がUSスチール社の高炉改修を終え、さらに20年の寿命を与えることになった場合、石炭からの脱却はますます難しくなります。気候危機回避とビジネスリスク回避の観点から、石炭に依存した生産体制の見直しが急務とされています。
政府規制と市場からの圧力
日本製鉄は、政府規制当局や鉄鋼バイヤーからの早急な対策が求められています。今後の気候変動の行方を左右する重要な決定を行う場面に立たされている同社は、これらの声に耳を傾ける必要があります。スティールウォッチは、同社の気候変動対策についての詳細を2025年評価報告書で発表しており、関心のある方はそちらを参照することが推奨されます。
また、株主総会付近でのアクションに関する写真は、以下のリンクからダウンロード可能です。写真ダウンロードリンク
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 株主総会開催日 | 2025年6月24日 |
| 主な懸念事項 | 石炭関連投資の拡大と気候変動対策の後退 |
| USスチール社の排出量 | 2951万トン |
| 日本製鉄の排出量 | 7650万トン |
| 年間総排出量予測 | 1億トン以上 |
| スティールウォッチの提言 | 気候変動対策の強化と石炭依存からの脱却 |
以上の内容を通じて、日本製鉄の株主総会における石炭関連投資への懸念が浮き彫りになりました。気候変動への対応が求められる中、同社の今後の方針がどのように展開されるのか、注視する必要があります。
参考リンク: