2025年7月11日開催 藤沢市で闇バイト対策授業が始動

藤沢市が新たに取り組む『闇バイト問題』への対策

2025年7月11日、神奈川県藤沢市において、闇バイト問題に対する特別授業が実施される。この取り組みは、慶應義塾大学の現役学生が立ち上げたEdTechスタートアップの株式会社Classroom Adventureが、藤沢市およびトレンドマイクロ株式会社と連携し、闇バイト対策のために開発した「レイの失踪」と「トレンドマイクロ 詐欺バスター」を活用したものである。

この特別授業では、藤沢翔陵高等学校の生徒を対象に、闇バイトの危険性を啓発するための実践的な情報リテラシー教育が行われる。具体的には、闇バイト疑似体験ゲーム「レイの失踪」を通じて、若者が自らリスクを体験し、対処法を学ぶことが目的である。

闇バイト問題の現状と背景

近年、闇バイトは若者を中心に広がりを見せており、特に10代・20代の若者がその被害に遭うケースが多い。2024年には特殊詐欺被害額が過去最高を記録し、警察庁の統計によると、闇バイトによる検挙者の約8割がこの年代に該当する。このような統計からも、闇バイトは深刻な社会問題であることが明らかである。

さらに、2023年12月に実施された調査では、ネット上の危険な求人情報を正しく見抜けた高校生は全体のわずか23%に留まっているという結果が出ており、若者が脅威を「自分ごと」として捉えることが難しいという現実が浮き彫りになっている。

新しい官民連携モデルの実現

藤沢市、株式会社Classroom Adventure、トレンドマイクロ株式会社の三者が連携して実施する特別授業は、各者の専門性を活かした新しいモデルとなる。この授業では、実在の事件を基にしたストーリーを通じて、闇バイトに加担する過程やその背後にある心理を追体験できる教育ゲーム「レイの失踪」が使用される。

このゲームは、最新の手口や対処法を学ぶだけでなく、なぜ人は騙されてしまうのかを考える力を育むことができる。2024年12月のリリース以降、全国70以上の教育機関で6万人以上が体験しており、その効果が証明されている。

詐欺対策アプリ「トレンドマイクロ 詐欺バスター」

特別授業では、トレンドマイクロ株式会社が開発したスマホ向けアプリ「トレンドマイクロ 詐欺バスター」も活用される。このアプリは、詐欺の可能性のある電話をブロックする機能や、メール、広告、Webページの詐欺判定、さらにはディープフェイクを用いたビデオ通話の検出など、さまざまな詐欺対策機能を搭載している。

授業では、詐欺チェック機能を用いて「レイの失踪」に登場する闇バイトへの勧誘コンテンツをチェックし、詐欺を見抜く力を養う。これにより、若者は具体的な知識と行動力を身につけることができる。

地域防犯強化の第一歩

藤沢市は、これらの先進的な民間のソリューションを教育現場に繋ぐハブとして機能することで、地域防犯強化のモデル構築を目指している。この特別授業を通じて、闇バイトに加担してしまう青少年への啓発を行い、家庭や周囲の大人たちへも情報が波及することが期待されている。

また、株式会社Classroom Adventureは「楽しすぎる学び」を通じて子どもたちが複雑な社会を生き抜く力を育むことをミッションとしており、地域社会のニーズを的確に把握することで、より効果的な教育プログラムを提供していく。今回の藤沢市との取り組みは、その実現に向けた重要な一歩となる。

特別授業の詳細

特別授業の概要は以下の通りである。

今後、株式会社Classroom Adventureはこの官民連携モデルを全国に展開することを目指しており、闇バイト問題に留まらず、フェイクニュースやネット上の誹謗中傷といった、より広範な情報リテラシー分野においても自治体との協働を計画している。

教育とテクノロジーを融合させたリテラシー教育分野での革新的なソリューションが、今後どのように発展していくのか注目される。