2025年6月実施の管理職調査で見えた負担と組織変革の兆し

管理職意識調査2025

開催期間:6月10日〜6月13日

管理職意識調査2025
管理職が手放したい業務って何?
調査によると、管理職が特に手放したい業務は部下のメンタルケアやキャリア面談で、心理的・時間的な負担が大きいためです。
シェアド・リーダーシップ型組織って何がいいの?
シェアド・リーダーシップ型組織は、メンバー全員が必要に応じてリーダーシップを発揮し、負担を分散できるため、多くの管理職が魅力を感じています。

管理職が手放したい業務は部下の「メンタルケア」と「キャリア面談」

最近の調査によると、管理職が若手や中堅社員のリーダーシップを発揮させるために必要な要素として、「成功体験」や「権限委譲」が挙げられています。株式会社シェイクは、300名以上の規模の企業における正社員で管理職(課長~部長クラス)の35~60歳の方を対象に、「管理職の期待・実態・課題」に関する意識調査を実施しました。この調査は、2025年6月10日から6月13日まで行われ、1,020人が参加しました。

【管理職が手放したい業務は部下の「メンタルケア」と「キャリア面談」】必要なのは誰もがリーダーシップを発揮できる体制による負担の分散 画像 2

調査の背景と目的

近年、「管理職になりたくない」と考える社員が増加していることが指摘されています。管理職に就いている方々の中にも、「これ以上の責任や役割を背負いたくない」と感じる方が多く、業務負担の軽減を望む声が上がっています。そこで、管理職がどのような責任を担い、どのように感じているのかを明らかにするために、今回の調査が実施されました。

調査結果は、管理職が抱える期待や実態、そして課題に関する貴重な情報を提供しています。特に、管理職が手放したいと考えている業務について注目が集まっています。

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管理職の期待と実態

調査結果によると、管理職は会社から以下のような役割を期待されています。

  • 部下のキャリア・将来を見据えた指導・育成(63.7%)
  • 部下に必要な業務指示・指導を行い、その進捗状況を管理(50.2%)
  • 部下のモチベーションを維持し、職場に良い雰囲気を作る(48.5%)

これらの役割に対して、管理職自身が力を入れたいと考えていることも調査されました。結果は以下の通りです。

  • 部下のキャリア・将来を見据えた指導・育成(49.7%)
  • 部下のモチベーションを維持し、職場に良い雰囲気を作る(38.1%)
  • 部下に必要な業務指示・指導を行い、その進捗状況を管理(33.2%)

特に「部下の指導・育成」は、期待と意欲が一致していることが分かります。一方で、業務指示や進捗管理に関しては、期待は高いものの、取り組みたいこととしての優先度はやや低くなっています。このことから、管理職が実務や短期的成果を重視する期待に対し、長期的な取り組みを希望するギャップが浮かび上がります。

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管理職が手放したい業務とは

調査の中で、管理職が現在の責任の中で手放したい業務や役割についても尋ねました。その結果、以下の業務が上位に挙げられました。

  • 部下のメンタルケアや相談への対応(24.7%)
  • 手放したいものはない(22.9%)
  • 部下のキャリア面談(22.9%)

特に「部下のメンタルケア」や「キャリア面談」は、管理職にとって負担を感じやすい業務であることが明らかになりました。これらの業務は、専門的な知識やノウハウが求められるため、心理的・時間的な負担を伴うことが多いと考えられます。

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シェアド・リーダーシップ型組織への期待

調査では、管理職が抱える業務負担を背景に、今後の管理職や組織の在り方についても模索されています。特に注目されているのが「シェアド・リーダーシップ型組織」です。これは、1人のリーダーが組織を率いるのではなく、メンバー全員が必要に応じてリーダーシップを発揮できる状態を指します。

実際に、管理職の約7割がシェアド・リーダーシップ型組織に魅力を感じていると回答しています。具体的には、以下のような結果が得られました。

  • とても魅力的だと思う(21.4%)
  • やや魅力的だと思う(54.0%)

このように、多くの管理職が新たな組織形態に期待を寄せていることがわかります。

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シェアド・リーダーシップ型組織の懸念点

一方で、シェアド・リーダーシップ型組織には懸念点も存在します。具体的には、以下のような意見が寄せられました。

  • 統制や管理がしづらい(38.2%)
  • 責任の所在が不明確になる(34.7%)
  • 意見がまとまらず、意思決定が遅くなる(30.2%)

このように、管理職にとって重要な要素である「統制」「責任」「意思決定」において、明確な枠組みがないことへの不安が強いことが示されました。シェアド・リーダーシップ型組織を成功させるためには、ルールや責任配分の明示、評価制度の再構築が必要です。

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リーダーシップスタイルの変化

調査では、現在の組織のリーダーシップスタイルについても尋ねました。その結果、以下のような傾向が見られました。

  • 上司が意思決定・指示を行い、メンバーが指示に従う(13.8%)
  • 上司が意思決定し、確認のもとメンバーは一部裁量を持つ(35.5%)
  • 上司は方向性を示し、役割分担のもとメンバーが主体的に行う(30.8%)
  • 上司やリーダーは最終責任を負い、メンバー同士で相談・意思決定をする(10.8%)
  • 役職に関係なくメンバー全員が意思決定に関与し、状況に応じてそれぞれがリーダーを担う(9.1%)

これにより、従来のトップダウン型リーダーシップから、メンバーの自主性や裁量を重視する方向にシフトしていることがうかがえます。

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部下のリーダーシップ発揮を促すために

管理職は、部下がリーダーシップを発揮できるようにするために意識していることについても調査しました。以下は、課長職および部長職の回答結果です。

課長職(相当)
自信をつけられるような成功体験をさせる(37.1%)
権限委譲し、仕事を任せる(35.2%)
失敗を許容し、挑戦を促す(29.0%)
部長職(相当)
権限委譲し、仕事を任せる(41.9%)
自信をつけられるような成功体験をさせる(36.1%)
好奇心を刺激し興味・関心を広げる(28.8%)

調査結果から、リーダー育成には経験と心理的安全性、主体性の醸成が鍵となっていることが分かります。

まとめ:管理職の役割と今後の展望

今回の調査により、管理職が担う役割とその意識の実態が明らかになりました。管理職は「部下の指導・育成」に意欲的であり、現場志向が多数派であることが示されています。特に「部下の指導・育成」は、会社の期待と個人の意欲が最も一致しており、やりがいの源となっています。

一方で、手放したい業務として「メンタルケア」や「キャリア面談」が上位に挙げられ、心理的・対人負担が課題であることも明らかになりました。今後は、リーダーシップを分かち合える環境づくりが、組織全体の力を高める鍵となると考えられます。

項目 結果
部下のキャリア支援 63.7%
業務指示・進捗管理 50.2%
モチベーション維持 48.5%
手放したい業務(メンタルケア) 24.7%
手放したい業務(キャリア面談) 22.9%

このように、管理職の役割や期待、業務負担についての実態が明らかになったことで、今後の組織運営やリーダーシップの在り方に新たな視点を提供することができるでしょう。

参考リンク: