7月18日開始！ヤマレコ登山アプリの圏外対応緊急SOS機能とは

登山アプリ「ヤマレコ」の新機能「緊急SOS」

株式会社ヤマレコは、2025年7月18日に登山地図アプリ「YamaReco（ヤマレコ）」の新機能「緊急SOS」をリリースしました。この機能は、遭難時に家族や友人に即時に連絡できるもので、特に圏外エリアからでもメッセージを送信することが可能です。

「緊急SOS」機能は、KDDIが提供する衛星通信サービス「au Starlink Direct」に対応しており、携帯電話の電波が届かない山間部などでも利用できます。この新機能により、遭難者が救助されるまでの時間を短縮し、生存率の向上が期待されています。

新機能の背景と課題

日本の山岳地帯では、携帯電話の電波が不安定であるか、圏外となる場所が多く存在します。このため、遭難者が自ら連絡する手段がないケースが多く見られます。これまでの実際の遭難事故では、本人と連絡が取れない状態が続き、家族や職場の人が「下山していないこと」に気づいて、ようやく110番通報されるという事例が多くありました。

そのため、遭難に気づかれるまでに数時間から数日かかることがあり、通報を受けた警察や消防も、本人からの情報が得られないため、現場の状況を正確に把握できず、救助活動の初動に時間を要するという大きな課題がありました。

実証実験の成功

これらの課題を解決するために、ヤマレコは2025年5月30日にKDDIが提供する衛星通信サービス「au Starlink Direct」を活用した実証実験を行い、成功を収めました。この実証実験の成果を基に、今回の「緊急SOS」機能の開発が実現しました。

「緊急SOS」機能は、遭難者がスマートフォンを通じて、圏外エリアからでも衛星通信を利用してSMSで、現在地や負傷状況、装備の有無、保険加入の情報などを含むメッセージを送信できる仕組みです。

「緊急SOS」機能の利用方法

遭難者が「緊急SOS」機能を利用する流れは以下の通りです。

1. ヤマレコアプリを開き、「登山する」タブから「登山開始」を選択し、メニューに進む。
2. 「その他の機能」から「緊急SOS」を選択し、救助要請の準備を開始する。
3. 画面に表示される質問や選択肢に答えることで、ケガの状態、現場の天気、服の色、持っている装備などを簡単に入力する。
4. すべての質問に答えた後、家族や友人にメッセージを送信する。

この機能を使用することで、電波が通じるエリアからでも、圏外の山の中からでもメッセージを送信できます。

他の機能との連携

「緊急SOS」機能は、以下のような他の機能とも連携しています。

• 110番通報: 電波が通じている場合、110番通報前に「緊急SOS」画面で状況を入力しておくと、現在地やケガの状態を正確に伝えることができ、迅速な対応につながります。
• 「いまココ」アプリ: 「緊急SOS」メッセージを登山者見守りアプリ「いまココ」に送信します。通信圏内なら携帯のネットワークで、圏外であっても衛星通信を利用してSOSメッセージを送信します。
• 他のメッセージアプリ: 電波が通じていれば、普段使っているLINEなどのメッセージアプリでも「緊急SOS」メッセージを共有可能です。

「いまココ」は、ヤマレコアプリを利用する登山者を見守るためのアプリで、送信された「緊急SOS」メッセージは、圏外でも家族や友人のスマートフォンに届きます。

「緊急SOS」機能の注意事項

「緊急SOS」機能を利用する際の注意事項について、以下にまとめます。

• ヤマレコアプリを事前に更新する必要があります。（iOS版バージョン7.45以降、Android版バージョン8.6.5以降）
• 位置情報をONにし、機内モードを解除する必要があります。
• 本機能は救助要請そのものではなく、メッセージを受け取った人が警察へ通報することを想定しています。
• SOSメッセージは一週間経過すると自動的に表示されなくなります。

この「緊急SOS」機能についての紹介動画も公開予定で、より分かりやすく伝えるための内容が用意されています。

まとめ

株式会社ヤマレコが提供する「緊急SOS」機能は、登山者が遭難した際に、圏外からでも家族や友人に救助要請を行うための重要なツールです。この機能の導入により、遭難者が救助されるまでの時間を大きく短縮し、生存率向上に寄与することが期待されます。

以下に、本記事で紹介した内容を表にまとめました。

この新機能により、登山者がより安心して山に向かえる環境が整うことが期待されます。