2025年7月24日発表:建築士の年収700万円超が増加、資格取得がキャリアの分岐点に
ベストカレンダー編集部
2025年7月24日 12:12
建築士収入キャリア調査
開催日:7月24日
建築士の収入とキャリアに関する調査結果
株式会社総合資格が2025年7月24日に発表した調査によると、全国の一級・二級建築士を対象に行った「第2回 建築士の資格取得や年収に関するアンケート」の結果が明らかになりました。この調査は、建築士の年収や昇進、勉強法に関する実態を把握し、資格取得後の影響を探るものです。
建築士は、一級建築士、二級建築士、木造建築士という国家資格を持つ専門職であり、建築物の設計や工事管理を行う重要な役割を担っています。調査では、建築士資格取得後の年収や待遇の変化、さらには学習環境についても詳しく分析されています。
調査概要
調査は2025年6月24日から6月30日までの間、PRIZMAによるインターネット調査を通じて実施され、1,007人の建築士が回答しました。調査の主なポイントは以下の通りです。
- 年収700万円以上の層が34.0%に達し、昨年から8.2ポイント上昇
- 年収に対する満足度は73.9%と、昨年から4.4ポイント増加
- 資格取得後の変化として「年収アップ」が最も多く、次いで「大型案件・責任ある仕事を担当」
- 資格試験対策の勉強を始める時期は「新卒〜社会人3年以内」が63.6%
- 資格予備校が「合格につながった」と回答した方の約4割がストレート合格
年収と満足度の向上
調査によると、建築士資格取得者の年収に関するデータは非常に興味深い結果を示しています。特に、年収700万円以上の層が34.0%に達し、昨年から8.2ポイントの上昇を見せています。この結果は、建設業界全体での賃上げの影響を反映していると考えられます。
さらに、一級建築士に限定すると、44.2%が年収700万円以上であることが判明しました。これは、約2人に1人が高年収層に位置することを示しています。一方、二級建築士では23.7%に留まっており、資格の等級による明確な年収差が浮き彫りになっています。
資格手当とその影響
資格手当の影響も調査結果に表れています。建築士資格取得者の中で、月収の上昇額に関しては、15,000円~20,000円未満(24.8%)や20,000円~25,000円未満(22.8%)が多く見られました。また、資格手当が20,000円以上と回答した割合は40.0%に達し、昨年の35.8%から4.2ポイント増加しています。
一級建築士では20,000円~25,000円未満が28.0%、二級建築士では10,000円~15,000円未満が最多であり、資格取得による手当の上がり幅には一級と二級で差があることが分かります。
待遇やキャリアの変化
建築士資格取得後の待遇やキャリアについても調査が行われました。資格取得後の変化として最も多かったのは「資格手当以外で年収が上がった(44.2%)」であり、次いで「大型案件・責任ある仕事を任されるようになった(34.7%)」や「昇進・役職が上がった(31.5%)」という結果が得られました。
このことから、建築士資格取得が単なる手当支給にとどまらず、業務上の役割や職責にも影響を与えていることが明らかになっています。特に昇進や責任ある仕事の担当は、組織内での評価やポジション変化を伴う重要な要素です。
学習環境と受験戦略
資格試験対策を始める時期については、37.2%が「社会人として働きながら(~3年くらい)」と回答しました。これは、キャリアの初期段階で資格取得を志す傾向が強いことを示しています。対照的に、10年以上経ってから資格取得に挑む方はわずか3.7%にとどまり、早期の資格取得が重要であることが伺えます。
また、試験勉強を進める際の工夫としては、「勉強する曜日や時間帯をルーティン化した(41.6%)」が最多であり、続いて「苦手分野を優先して重点的に対策した(37.3%)」や「スキマ時間を活用した(35.0%)」という回答が多く見られました。これにより、効率的な学習が実現されていることが分かります。
合格率と学習方法
建築士試験は学科試験と設計製図試験から成り立っています。調査では、設計製図試験に何回目で合格したかを尋ねたところ、3回目で合格した人が27.8%、2回目が26.6%、初回ストレート合格が26.2%という結果が得られました。
特に一級建築士試験においては、ストレート合格率が24.8%であることから、難易度の高さが伺えます。この結果は、試験準備における戦略的なアプローチが重要であることを示しています。
合格につながった勉強方法
合格につながったと感じた勉強方法については、一級建築士では「通信講座・オンライン講座・WEB学習サービスの活用(33.4%)」が最多であり、二級建築士でも同様の結果が見られました。特に、時間や場所に縛られないオンライン型の学習方法が、社会人受験者にとって大きな魅力となっています。
さらに、資格予備校での通学が「合格につながった」と回答した方の中で初回ストレート合格率が39.6%に達しており、予備校の持つ「合格まで導く力」が特に発揮されていることが分かります。
まとめと今後の展望
今回の調査を通じて、建築士資格の取得が働き方や収入、キャリア全体に大きな影響を与えることが明らかになりました。特に年収700万円以上の層が34.0%に達したことは、建築士資格の市場価値が高まっていることを示しています。
また、年収に対する満足度も上昇しており、建設業界全体での賃上げや労働環境の改善が影響を与えている可能性があります。建築士資格取得後の待遇やキャリアの変化は、金銭的なインセンティブだけでなく、自己肯定感や仕事への誇りにも大きく作用していることが伺えます。
以下に、調査結果の要点をまとめた表を示します。
| ポイント | 数値 |
|---|---|
| 年収700万円以上の割合 | 34.0% |
| 年収に対する満足度 | 73.9% |
| 資格取得後の年収アップ | 44.2% |
| 新卒〜社会人3年以内に勉強開始 | 63.6% |
| ストレート合格率(資格予備校利用者) | 39.6% |
建築士資格の取得は、キャリア形成や人材育成の観点からも重要な要素であり、今後の業界における取り組みが期待されます。
参考リンク: