2025年8月6日発表 病院経営危機の実態と医療崩壊の影響

病院経営危機調査

開催日:8月6日

病院経営危機調査
なんで今の病院ってそんなに経営が厳しいの?
人件費や物価の高騰が続く中で、国が決める診療報酬の引き上げが人件費増加に追いつかず、約7割の病院が赤字経営に陥っています。
病院が経営危機になると私たちの生活にどんな影響があるの?
救急医療の受け入れ拒否や高齢者の遠方通院、出産医療の不安が増え、地域の医療サービスが低下し、生活や命に直結する問題が深刻化します。

病院経営の危機的状況

近年、多くの病院が深刻な経営の危機に直面しています。実際、約7割の病院が赤字経営となり、倒産や廃業が過去最多を更新しています。このような状況は、私たちの生活や健康にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

2025年8月6日、一般社団法人日本医療法人協会は、6つの病院団体と共に、2024年度診療報酬改定後の病院の経営状況を把握するために緊急調査を実施しました。この調査には、1,816病院からの回答が寄せられ、経営状況の厳しさが浮き彫りとなりました。

街から病院が消える!?深刻化する病院の経営状況 画像 2

調査結果の概要

調査結果によると、2024年の診療報酬改定後、医業利益率や経常利益率が悪化傾向にあることが確認されました。具体的には、以下のような数値が示されています。

  • 医業利益の赤字病院割合:69%
  • 経常利益の赤字病院割合:61%

これらの数字は、病院経営がますます厳しくなっていることを示しています。

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経営危機の要因

病院の経営危機にはいくつかの要因が存在します。主な要因を以下に示します。

  1. 人件費・物価の高騰
    過去5年間で、給与費やその他の経費が激しく増加しています。特に、その他の経費の増加率は18.9%と際立っています。
  2. 国が決める医療費価格
    日本では、診療報酬という医療費価格が国によって決められています。2024年度の診療報酬改定では、診療報酬本体が0.88%引き上げられましたが、これは人件費や物価の高騰に対応していません。
  3. 利益悪化による赤字の拡大
    医業利益率や経常利益率はマイナスであり、2023年度よりも2024年度の方が悪化しています。

これらの要因が重なり、病院の経営状況は厳しさを増しています。

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医療崩壊の影響

医療崩壊が進むと、私たちの暮らしにどのような影響があるのでしょうか。以下にいくつかのシナリオを示します。

  • 救急医療
    急な事故に遭った場合、病院に受け入れを拒否され、たらい回しにされる可能性があります。
  • 高齢者医療
    介護が必要な高齢者が、自宅近くで適切な医療を受けられず、遠方の病院まで通わなければならない状況が考えられます。
  • 出産医療
    陣痛が来た際に、すぐに駆け込める病院が見つからないという不安が広がるかもしれません。

医療崩壊の影響は、私たちの健康や命に直結するだけでなく、地域経済にも深刻な影響を与えます。病院の経営が立ち行かなくなると、医療従事者は職を失い、病院周辺の商店街も活気を失うことになります。

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私たちの問題として捉える

医療崩壊は、決して遠い未来の出来事ではありません。私たち一人ひとりがこの問題を「自分ごと」として捉え、行動することが求められています。「安心して通える病院が、いつもすぐそばにある」という日常を守るために、何ができるのかを考えなければなりません。

一般社団法人日本医療法人協会は、民間医療機関である医療法人の健全な発展を目指し、国民医療の向上を図るために設立された団体です。会員は医療法人で構成され、民間医療機関の立場から様々な事業を行っています。

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日本医療法人協会の概要

以下に、一般社団法人日本医療法人協会の概要を示します。

法人名 設立 会員数 施設保有数 支部
一般社団法人 日本医療法人協会 1952年8月27日 1,005法人(2025年4月1日時点) 2,611施設(2025年4月1日時点) 36支部・地方組織

このように、病院経営の危機は私たちの生活に深刻な影響を与える可能性があります。医療崩壊の現状を知り、共に考えることが重要です。

参考リンク: