日本原料、可搬型浄水装置で妙高市へ1,000㎥/日供給

妙高市飲料水供給支援

開催日:8月9日

妙高市飲料水供給支援
妙高市の断水ってどうやって解消したの?
日本原料が可搬型浄水装置MST-2300を導入して消雪用井戸を仮水源に仮設浄水場を構築。濁度0.01を確認し、日量1,000立方メートルの供給を開始、8月9日から通水しました。
MST-2300ってどれくらい頼りになる装置なの?
MST-2300は持ち運べる小規模浄水場として短期間で設置・運用可能。マンガン対応のろ材を採用し、今回の現場では濁度0.01で日1,000㎥の水道水を供給しました。

新潟県妙高市で発生した渇水と断水危機の経緯

2025年夏、上越市を中心に発生した渇水は周辺自治体にも波及し、新潟県妙高市の水道供給にも深刻な影響を及ぼしました。梅雨明け後の7月以降まとまった降雨が無く、水源である正善寺ダムの水位が低下し、上越市から送水を受けていた妙高市の供給体制が脆弱化しました。

妙高市では特に新井地区での影響が顕著となり、約9,000世帯に対して節水の協力が呼びかけられていました。自治体からは早急な復旧支援要請が必要となり、民間企業による緊急対策が求められる状況となっていました。

令和7年新潟県妙高市の渇水における災害復旧支援(飲料水供給)について 画像 2

日本原料株式会社による緊急支援と可搬型浄水装置の導入

水処理メーカーの日本原料株式会社(本社:川崎市、代表取締役社長:齋藤安弘)は、2025年7月31日に妙高市からの要請を受け、同日中に支援対応を決定しました。プレスリリースは2025年8月13日09時に発表されています。

支援計画は迅速に進められ、8月1日に関係各所との打ち合わせを実施。消雪用に使用されている井戸を緊急水源とする仮設浄水場を設ける方針が固まり、可搬型浄水装置としてモバイルシフォンタンク(MST-2300)を1基設置することで、日量1,000立方メートル(㎥)の水道水を供給する計画が立てられました。

対応の具体的なタイムライン

現地での対応は短期間で集中的に行われました。装置設置に向けた技術確認と現場調整が速やかに済まされ、供給開始までの工程が明確に整理されました。

以下は現地対応の主な日程です。経過は日次で確認され、各工程で関係者が協働して作業を進めました。

  1. 7月31日:妙高市からの支援要請を受領、支援対応を決定
  2. 8月1日:関係機関との打ち合わせ、消雪用井戸を水源とする仮設浄水場の計画決定
  3. 8月2日:技術部隊と協力業者による現場調査を実施
  4. 8月3日:水質上の問題点であったマンガン処理方法を選定
  5. 8月6日:モバイルシフォンタンクの搬入完了
  6. 8月8日:濁度0.01度を実現
  7. 8月9日:通水開始(当初の目標日と同日)

処理技術の詳細:マンガン対策とろ材構成

現地での水源からはマンガンが検出されており、通常のろ材構成では対応が困難であったため、設計を変更して処理を行いました。具体的には標準のシフォンタンクろ材構成であるゼブラレイヤー+インターセプターから、今回はゼブラレイヤー+マンガンインターセプターとすることで対応しました。

この選定により、マンガン除去の効率を高めるとともに、浄水の透明度を確保することができ、短期間での通水開始につながりました。現地では濁度0.01度を確認し、所定の品質基準に達したため、予定通り通水を開始しています。

ろ材構成の比較と役割

ろ材構成の変更点と各ろ材の役割を整理します。今回の対応は水質の特徴に合わせた現場最適化の一例と言えます。

ゼブラレイヤー
粒度分布を工夫した層で、濁質粒子の捕捉と流速分散を担う。基本的な濁質対策として配置。
マンガンインターセプター
マンガン等の溶解性金属を吸着、または化学的に不溶化させ除去するための媒体。今回の水質に対して選定された。
従来のインターセプター
一般的な吸着・捕捉目的の媒体。今回はマンガン特性に合わせて専用媒体に変更。

設置成果と供給状況の整理

モバイルシフォンタンクMST-2300の搬入は8月6日に完了し、8月8日に濁度0.01度を達成、8月9日から日量1,000立方メートルの水道水供給を開始しました。供給は仮設浄水場として消雪用井戸を水源とし、地域の生活用水の安定化に寄与しています。

今回の対応で用いられた可搬型浄水装置は、持ち運び可能な小規模浄水施設として迅速な設置と運用が可能であり、地域の有事における短期的な水供給策として機能しました。日本原料は今回の現地対応を通じて、機材の運用・ろ材選定・現地調整の実務経験を蓄積しています。

項目 内容
発表日 2025年8月13日 09時00分
支援対象 新潟県妙高市(新井地区を含む)
要請受領日 2025年7月31日
主要対応日程 8月1日 打ち合わせ、8月2日 現場調査、8月3日 マンガン処理方法選定、8月6日 搬入完了、8月8日 濁度0.01度、8月9日 通水開始
供給装置 モバイルシフォンタンク(MST-2300) 1基
供給量 日量 1,000立方メートル(㎥)の水道水
水源 消雪用井戸(仮設浄水場として利用)
主な水質対応 マンガン検出に対応したろ材構成(ゼブラレイヤー+マンガンインターセプター)
影響世帯数 新井地区 約9,000世帯に節水の協力要請が出されていた
関連リンク 製品情報ページ(MST)

この記事では、妙高市の渇水に対して日本原料株式会社がどのように短期間で対応し、可搬型浄水装置を活用して日量1,000立方メートルの水道水を供給したかを時系列と技術面から整理しました。現場でのろ材選定や工程管理により、濁度0.01度の品質を確認したうえで通水を開始した点が今回の支援の特徴です。

参考リンク: