9月設立へ アニコムが健康寿命延伸財団を創設
ベストカレンダー編集部
2025年8月19日 16:24
アニコム健康寿命財団設立
開催日:9月1日
設立の狙い:ヒトとペット双方の健康寿命を科学的に支える基盤の構築
アニコム損害保険株式会社(東京都新宿区、代表取締役 野田 真吾)は、2025年9月に「一般財団法人 アニコム健康寿命延伸財団(英文名称:Anicom Institute for Healthy Longevity)」を設立する予定であることを、2025年8月19日16時01分付のリリースで発表しました。現在は設立登記の申請手続き中であると明記されています。
設立の主目的は、ヒトとペット双方の健康寿命延伸に向けた中立的かつ学術的な研究の推進です。近年のペットの長寿化・高齢化を背景に、ペットの健康寿命延伸は社会的課題となりつつあり、ヒトとペット双方の健康を科学的に探究・支援する仕組みが求められています。アニコムグループは、これまで保険会社として蓄積してきた国内最大規模の保険・獣医療データを分析・研究に活用してきた実績があり、得られた知見を広く社会に還元し、学術および予防医療の浸透に資するために本財団を立ち上げると説明しています。
- 発表元:アニコム損害保険株式会社(アニコムグループ)
- 発表日時:2025年8月19日 16:01
- 設立予定:2025年9月(設立登記申請中)
- 所在地:東京都新宿区
- 英文名称:Anicom Institute for Healthy Longevity
研究対象と活動内容:口腔疾患から診療ガイドライン支援まで
本財団は、特に口腔疾患(歯周病等)と全身疾患の関連性や、ヒトとペット間における細菌叢の類似性といったテーマに関する調査研究を中心に据えます。研究成果は歯科医療・獣医療の領域にとどまらず、アカデミアや一般社会への啓発活動へとつなげる方針です。
具体的な主な活動項目は以下の通りとされています。学術的な中立性を担保しながら、研究を発信し、診療現場へ実装するための支援も行う点が特徴です。
- ヒトとペットの健康寿命延伸に関する調査研究
- 研究成果の社会還元(学会発表、講演会、出版等)
- 調査研究を通じた診療ガイドライン等の整備支援
- 歯科に関わる健康診断および保健指導
- 助成金・奨学金の交付 ほか
また、アニコムが保有する保険・獣医療データを活用した疫学的解析や長期追跡研究、さらにはヒトとペットの微生物叢(マイクロバイオーム)比較研究など、複数の学際的アプローチが想定されます。研究成果は論文化や学会発表だけでなく、講演会や専門誌への寄稿を通じて社会に情報提供される予定です。
口腔ケアと全身疾患の関連性に関する研究の重視
本財団は特に口腔疾患と全身疾患の関連に注目します。歯周病と腎臓、肝臓、心臓などの関係が示されていることを踏まえ、動物においても早期からの歯周病対策が健康寿命に影響を及ぼす可能性を検証していきます。
プレスリリース中で引用された文献として、Wiggs RB、Lobprise HB編の『Veterinary Dentistry Principles and Practice』(1997年)があり、そこでは2歳までに犬の80%、猫の70%が歯周病を発症しているとの報告が示されています。こうした疫学的知見を起点に、動物の「予測歯科・予防歯科」の構築に資する研究が進められる方針です。
理事構成と発言:学際的な専門家による運営体制
財団設立に際しては、歯科・医科・獣医療の領域を横断する専門家が理事に名を連ねています。臨床と研究の双方で実績があるメンバー構成が、学術的な信頼性を高めるポイントと位置付けられています。
代表理事および理事の氏名、肩書きと発言内容は下記のとおりです。各理事からのコメントは、設立意図や問題意識、研究の方向性を示す重要な情報と位置付けられています。
- 代表理事:照山 裕子(歯科医師・歯学博士)
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「歯や口腔の健康は日常生活の基盤となる『生命の源』ですが、大切な家族であるペットにとっても同様です。」という言葉で、口腔ケアの重要性を強調しています。
照山氏は、本財団を〈従来の医科・歯科連携に加え、獣医療領域との学術研究を共有することで、社会全体の健康観を考えるキーステーション〉と位置付けています。
- 理事:天野 敦雄(大阪大学名誉教授・予防歯科学)
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天野氏は歯周病の病因論やバイオフィルム研究の世界的第一人者であり、日本口腔衛生学会理事長等を歴任してきた研究者です。
コメントでは、犬と猫の若年期における歯周病の高い発症率(犬で80%、猫で70%)に触れ、動物における「予測歯科・予防歯科」の構築を訴えています(出典:Wiggs RB, Lobprise HB. Periodontology. In Wiggs RB, Lobprise HB (eds): Veterinary Dentistry Principles and Practice. Philadelphia: Lippincott–Raven, 1997, pp 186-231)。
- 理事:西田 亙(医師・医学博士)
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内科医として、歯周病と全身疾患の関連を追究してきた立場から、ペットにおける歯周病が健康を損なう事実に着目しています。
西田氏は、医学領域での予防の視点が不足している点を指摘し、ペットの健口による病気の予防がヒト社会にも還元されうる点を強調しています。
運営と研究の連携体制
プレスリリースでは、国内外の大学や研究機関との連携を強化し、ヒトとペット双方に貢献する研究ネットワークを構築する方針が明示されています。研究成果の精度を担保するための共同研究や、学際的なプロジェクト推進が想定されています。
また、助成金・奨学金の交付などを通じた若手研究者支援や、診療ガイドライン作成支援による現場適用も運営上の主要な取り組みとして位置付けられています。
セミナー予定と情報公開の方法
設立直後の活動として、2025年9月に代表理事・照山裕子氏と理事・天野敦雄氏による「口腔ケアと健康」をテーマにしたセミナーが予定されています。詳細は財団側から改めて案内されるとされています。
情報発信については、ウェビナー、学術講演会、専門誌への寄稿、学会発表等を通じて研究成果を広く提示する方針が示されています。国内外の大学・研究機関との連携を通じ、学術コミュニティと臨床現場、社会へと波及させる計画です。なお、財団の公的な発表や詳細は、アニコム損害保険のニュースリリースページでも参照できます(関連リンク:https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2025/20250819/)。
要点の整理と事実関係のまとめ
以下の表は、本プレスリリースで示された主要事項を整理したものです。設立の目的、基本情報、主な活動、理事構成、初期の発信計画といった点を網羅しています。表の下には短い補足説明を付しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 財団名 | 一般財団法人 アニコム健康寿命延伸財団(Anicom Institute for Healthy Longevity) |
| 発表団体 | アニコム損害保険株式会社(代表取締役 野田 真吾) |
| 発表日時 | 2025年8月19日 16:01(プレスリリース) |
| 設立日(予定) | 2025年9月(設立登記申請手続き中) |
| 所在地 | 東京都新宿区 |
| 設立目的 | ヒトとペットの健康寿命延伸に向けた中立的かつ学術的な研究の推進と成果の社会還元 |
| 主な活動 | 調査研究、学会発表・講演会・出版、診療ガイドライン等の整備支援、歯科関連の健康診断・保健指導、助成金・奨学金交付等 |
| 理事(代表含む) | 代表理事:照山 裕子(歯科医師・歯学博士)/理事:天野 敦雄(大阪大学名誉教授)/理事:西田 亙(医師・医学博士) |
| 初期の発信イベント | 2025年9月:代表理事と理事による「口腔ケアと健康」セミナー(詳細は追って案内) |
| 関連リンク | https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2025/20250819/ |
上記の表は本リリースに記載された情報を整理したものであり、設立日やセミナーの詳細などについては記載どおり、財団側からの正式発表を踏まえて確認する必要があります。研究テーマとしては口腔と全身疾患の関連、ヒト・ペットの微生物叢比較、予防的な診療体系の構築などが示されており、学術的な発信と診療現場への実装支援が両輪で進められていく計画です。
参考リンク: