9月18日発売|芦沢央新作、将棋と法曹の嫉妬劇
ベストカレンダー編集部
2025年8月29日 22:05
新刊発売&サイン会
開催日:9月18日
将棋と法曹が交差する、若者の〈嫉妬〉と〈羨望〉
芦沢央の最新作『おまえレベルの話はしてない』は、かつて同じ夢を抱いていたふたりの青年が、別々の舞台で生きることで互いを強烈に意識し続ける物語である。将棋の世界でプロ棋士として生きる芝と、奨励会を退会して東大・司法試験を経て弁護士となった大島。26歳という同世代の若者たちに宿る焦燥、執着、そして侮蔑が、静かに、しかし容赦なく描写される。
作品冒頭のモチーフは、〈同じ夢を食い潰された〉という共通体験だ。夢を叶えた者と夢に敗れた者の感情は単純な勝敗の図式に収まらず、羨望と侮蔑、愛情に似た執着が入り混じる。芦沢はその微細な心理の揺らぎを積み重ね、読む側の胸をひたひたと動かす筆致で物語を紡いでいる。
作品の構造と主要登場人物
本作は主に芝と大島の視点を軸に進行するが、単純な二項対立に終始しない点が特徴だ。将棋の勝負や法廷の駆け引きといった外的ドラマだけでなく、内面の小さな振動が物語を推進する。対照的な舞台設定がふたりの心理を際立たせ、読み手は感情の裏返しを繰り返し経験することになる。
以下に登場人物の要点を整理する。
- 芝
- 20歳でプロ棋士となるが、成績不振にあえぎ孤独に崩れ落ちていく男。奨励会時代の記憶と現状の間で自分を見失い始める。
- 大島
- 17歳で奨励会を退会し東大へ進学。司法試験を突破して弁護士となる。成功を収めた側として芝を強く意識し続ける。
芦沢央という作家の現在地と執筆背景
芦沢央は1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』でデビューし、以降『火のないところに煙は』『神の悪手』『夜の道標』などで高い評価を受けてきた。直木賞候補にも2012020年と2025年に選ばれており、読者や評論界からの注目は継続している。
本作刊行にあたって、芦沢は2023年に他の仕事をすべて停止して本作に専念し、約2年間をかけて改稿を繰り返した。著者自身が〈渾身の一作〉と位置づけるだけの時間と労力を注ぎ込んだ結果、感情の機微を精緻に掬い取る文章が生まれている。
受賞歴と作家としての軌跡
芦沢の経歴は多彩であり、受賞歴が示す通りジャンル横断的な関心と表現力を持つ。2012年の野性時代フロンティア文学賞受賞作は映画化され、その後も各賞を受賞・候補になるなどして作家としての地歩を固めてきた。本作はその延長線上にあるが、作風には従来作品とは異なる静かな強度がある。
また、プレスリリースに添えられた写真クレジットは©︎藤岡雅樹となっており、ビジュアル面でも作者のイメージが丁寧に管理されていることがうかがえる。
刊行情報と書店イベントの詳細
出版社は株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)。プレスリリースは2025年8月29日 10時00分に発表された。新刊『おまえレベルの話はしてない』は2025年9月18日に発売予定で、書籍の仕様は四六判/上製/192頁、税込定価1,815円(本体価格1,650円)、ISBN 978-4-309-03225-2である。電子書籍も同日に配信予定で、詳細は各電子書籍ストアを確認するよう案内されている。
書籍の紹介ページは河出書房新社の公式サイトに設けられており、販売や流通に関する情報も同ページで確認できる。URLは出版社の新刊ページ(https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309032252/)である。
刊行記念イベントの全容
刊行を記念した書店イベントが2会場で予定されている。受付はいずれも2025年8月29日(金)午前10時から先着順で開始されると明記されているため、参加には事前の確認が必要である。以下にイベントの詳細を列挙する。
- 八重洲ブックセンター 京急百貨店上大岡店
種類:芦沢央さんサイン会
日時:2025年9月27日(土)14時開始(16時終了予定)
受付:2025年8月29日(金)AM10時受付開始(先着順)
詳細:https://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/26395/ - 大盛堂書店(渋谷)
種類:トークイベント&サイン会
日時:2025年10月5日(日)14時開始(16時終了予定)
受付:2025年8月29日(金)AM10時受付開始(先着順)
詳細:https://taiseido.co.jp/event20251005.html
書店関係者の反応と読後感の声
すでに書店関係者の間では高い評価が寄せられている。各書店の担当者が実際に読んだ感想を寄せており、いずれも作品が読者の心を強く揺さぶることを示している。リアルな読後の声は、宣伝文句を超えて作品の痛みや衝撃を伝えている。
ここではプレスリリースに掲載された各書店のコメントを忠実に紹介する。
- 宮脇書店春江店 東海林充子さん:「50代にもなって病院の待合時間に、泣きながら心臓バクバクさせながら読むことになると思わなかった。エグられる…」
- 須原屋ビーンズ武蔵浦和店 岩谷妙華さん:「こんな生傷みたいな青春小説、はじめてでした」
- うさぎや矢板店 山田恵理子さん:「人生観に影響を与える衝撃」
- 紀伊國屋書店アリオ鳳店 吉原朋子さん:「こんなに苦しいのは、自分の心を覗かれているような気がしたからか、最も痛いところを暴かれたからなのか、読み終わった今も、ずっとずっと考えている」
これらの声は、作品が単なる娯楽小説に留まらず読者の内面に長く残る力を持つことを示している。感情の深い層に触れる物語は、読了後の余韻を伴って日常に影響を与える性質を持つ。
要点まとめ
以下の表は本件で伝えられた主要情報を整理したものだ。刊行情報、イベント日時、価格、ISBNなどの基本データを一覧にしている。続く本文ではこの表の内容を再確認する形で締めくくる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | おまえレベルの話はしてない |
| 著者 | 芦沢央(あしざわ・よう) |
| 出版社 | 河出書房新社(株式会社河出書房新社) |
| プレスリリース発表日 | 2025年8月29日 10:00 |
| 発売日 | 2025年9月18日(書籍・電子書籍同日配信予定) |
| 価格 | 税込1,815円(本体1,650円) |
| 仕様 | 四六判/上製/192頁 |
| ISBN | 978-4-309-03225-2 |
| 刊行記念イベント(1) | 八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店:2025年9月27日(土)14:00開始(16:00終了予定)。受付:2025年8月29日AM10時開始(先着順)。詳細:https://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/26395/ |
| 刊行記念イベント(2) | 大盛堂書店(渋谷):2025年10月5日(日)14:00開始(16:00終了予定)。受付:2025年8月29日AM10時開始(先着順)。詳細:https://taiseido.co.jp/event20251005.html |
| 著者写真クレジット | ©︎藤岡雅樹 |
| 出版社URL | https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309032252/ |
以上がプレスリリースに基づく主要な情報の整理である。本作は将棋と法曹という異なる舞台設定を通じて、若者たちの感情の深部を掘り下げる作品であり、刊行および関連イベントの日程や受付方法、価格・仕様・ISBN等の基本データは上表の通りである。読書の選択肢として、あるいは作家の新しいステップとして注目される一冊である。
参考リンク: