西日本鉄道、ヒノマルHDを10月1日付で子会社化へ
ベストカレンダー編集部
2025年9月8日 18:44
西鉄のヒノマル子会社化
開催日:10月1日

西日本鉄道(にしてつグループ)によるヒノマルホールディングス株式取得の全貌
西日本鉄道株式会社は、2025年9月8日15時30分付で公表したリリースにおいて、ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社(東京都中央区)が運営するファンドおよび個人株主1名から、ヒノマルホールディングス株式会社(東京都中央区、以下「ヒノマルHD」)の発行済株式の99%にあたる株式を取得し、2025年10月1日付で子会社化する予定であると発表しました。
取得の実行は独占禁止法第10条第2項に基づく公正取引委員会の審査を前提とし、排除措置命令等の発令がなく実行できることが条件となります。あわせて、同社は年内を目途にヒノマルHDの発行済株式総数の100%を取得する方針を示しています。
項目 | 内容 |
---|---|
プレスリリース日 | 2025年9月8日 15時30分 |
株式譲渡契約締結日 | 2025年8月27日 |
株式譲渡実行日(予定) | 2025年10月1日(予定) |
株式取得の相手先 | ベーシック・キャピタル・マネジメント㈱運営ファンドおよび個人株主1名 |
取得株式数 | 23,658株(同社発行済株式の99%) |
今後の予定 | 年内を目途に発行済株式総数の100%取得を予定 |
実行条件 | 公正取引委員会による独占禁止法第10条第2項に基づく審査において、排除措置命令等の発令がないこと |
ヒノマルホールディングスと中核会社ヒノマル㈱の事業内容と組織
ヒノマルホールディングス株式会社は2020年5月に設立され、ヒノマル株式会社を中核とするグループの持株会社として位置づけられています。ヒノマル㈱は1947年創業で、九州を中心に農薬・肥料・農業用資材の卸売、園芸施設の請負・施工などを展開してきました。
にしてつグループは、物流やスーパーマーケットなどの物販サービスを持ち、これらの事業とヒノマルグループが連携することで、農業分野での価値創出と地域活性化を図る狙いがあります。以下に各社の主要データを整理します。
ヒノマルホールディングス株式会社の概要
ヒノマルHDの本社は東京都中央区京橋二丁目2番1号に所在し、代表取締役社長は金田欧奈氏が務めています。設立は2020年5月で、資本金は985万円です。
株主構成は以下の通りで、現状ではベーシック・キャピタル・マネジメント㈱運営ファンドが98%、個人株主1名が1%、ヒノマルグループの取引先2社が合計1%を保有しています。今回の取得は、このうちファンド(98%)と個人株主(1%)から合計99%を取得する形となります。
- 本社所在地
- 東京都中央区京橋二丁目2番1号
- 代表者
- 金田 欧奈(代表取締役社長)
- 設立
- 2020年5月
- 資本金
- 985万円
- 既存株主構成(取得前)
- ①ベーシック・キャピタル・マネジメント㈱運営ファンド(98%)
②個人株主1名(1%)
③ヒノマルグループの取引先2社(1%)
ヒノマル株式会社(中核会社)の概要
ヒノマル㈱の本社は熊本県熊本市中央区九品寺五丁目7番29号にあり、代表取締役社長は安武広信氏です。創業は1947年2月6日で、資本金は1億円となっています。
従業員数は2025年3月末現在で98名、2025年3月期の売上高は128億4,900万円です。事業内容は肥料、植薬、園芸資材、産業資材の仕入・販売と園芸施設工事の請負・施工で、地域の農家や農業法人との関係が深い点が特長です。
- 本社所在地
- 熊本県熊本市中央区九品寺五丁目7番29号
- 代表者
- 安武 広信(代表取締役社長)
- 創業
- 1947年2月6日
- 資本金
- 1億円
- 従業員数
- 98名(2025年3月末現在)
- 売上高
- 128億4,900万円(2025年3月期)
- 事業内容
- 肥料・植薬・園芸資材・産業資材の仕入・販売、園芸施設工事の請負・施工
- 公式サイト
- https://hinomaru-agri.com/
プレスリリースには「ヒノマルグループ 組織図」が添付されている旨の記載があり、グループ内の関係性や事業分担が明示されています。
取得の背景、戦略的意義と想定されるシナジー
西日本鉄道は、今回の株式取得を通じて九州の主要産業である農業分野を支援することを明確にしています。ヒノマル㈱が持つ農業分野での知見と、にしてつグループが保有する物流サービスやスーパーマーケットなどの物販チャネルを組み合わせることで、地域の農業生産性向上や流通の効率化に資することが期待されています。
にしてつグループは「にしてつグループまち夢ビジョン 2035」で掲げる「居心地よい幸福感あふれる社会」の実現に向けて、沿線地域・九州経済の活性化や持続可能なまちづくりを目指しており、農業支援はその重要な一環と位置づけられています。
- 物流面の連携:西鉄グループがもつ配送網や倉庫機能を活用することで、農資材の配送効率や入出庫管理の高度化が見込まれる。
- 小売チャネルとの統合:にしてつグループの物販サービス(スーパーマーケット等)を通じた産直品の流通強化や販路拡大が期待される。
- 地域の課題解決:農業法人や個別の農家とのリレーションを活用した支援策や共同事業が展開可能で、地域経済の活性化に寄与する。
- 技術・施工分野の活用:園芸施設や農業用施設の請負・施工で培ったノウハウを活かした事業展開が可能。
スケジュール、法的手続き、業績への影響
今回の株式取得は既に株式譲渡契約を2025年8月27日に締結しており、取得の実行は2025年10月1日を予定しています。ただし、実行には公正取引委員会による審査を通過することが前提となります。独占禁止法第10条第2項に基づく届出にかかる審査の結果、排除措置命令等が発令された場合は実行が妨げられることがあります。
財務面については、西日本鉄道の発表によれば、本件が2026年3月期の連結業績に与える影響は軽微であるとしています。一方で、中長期的にはヒノマルグループとの連携を通じて業績向上に資するとの見解を示しています。
- 2025年8月27日:株式譲渡契約締結(実施済)
- 2025年9月8日:リリース公表(日時:15時30分)
- 2025年10月1日(予定):株式譲渡実行・子会社化
- 2025年内:残余株式の取得により発行済株式総数の100%取得を予定
法的手続きや審査状況は今後の動向により変化し得るため、実行時期や形態については公正取引委員会の判断を踏まえた最終決定が求められます。
要点の整理
以下の表は、本リリースの主要事項を整理したものです。取得の対象、日付、保有割合、取得後の方針、各社の基本情報を網羅しています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表社 | 西日本鉄道株式会社(にしてつグループ) |
発表日時 | 2025年9月8日 15時30分 |
取得対象会社 | ヒノマルホールディングス株式会社 |
取得株式数・割合 | 23,658株(発行済株式の99%) |
株式譲渡契約締結日 | 2025年8月27日 |
株式譲渡実行日(予定) | 2025年10月1日(予定) |
譲渡先(取得元) | ベーシック・キャピタル・マネジメント㈱運営ファンドおよび個人株主1名 |
100%取得の計画 | 年内を目途に発行済株式総数の100%取得を予定 |
実行条件 | 独占禁止法第10条第2項に基づく公正取引委員会審査の結果、排除措置命令等がないこと |
ヒノマル㈱の売上高 | 128億4,900万円(2025年3月期) |
ヒノマル㈱従業員数 | 98名(2025年3月末現在) |
ヒノマルHD資本金 | 985万円 |
ヒノマル㈱資本金 | 1億円 |
本件は、農業分野に特化した卸売企業であるヒノマルグループと、にしてつグループの物流や物販チャネルを結び付けることで、地域経済や沿線地域の活性化へとつなげる狙いが示されています。財務面の短期的影響は軽微とされていますが、総合的な事業シナジーを通じた中長期の収益改善が見込まれる点が重要なポイントです。