9月下旬開催 北欧パビリオンで見るフィンランドの食革新

フィンランド食対話

開催日:9月20日

フィンランド食対話
イベントはいつどこで開催されるの?
大阪・関西万博の北欧パビリオンで、2025年9月下旬に開催されるセミナー「Think like a Finn – Food for Thoughts」。フィンランド関係者が2日間にわたり登壇します。
どんな企業や技術が紹介されるの?
FazerやValioなどの既存ブランドに加え、Onego Bioの卵代替、Solar Foodsの空気由来タンパク、発酵や植物性タンパクなど持続可能な食技術が紹介されます。

森の恵みと発酵がつなぐ、フィンランドの食イノベーション像

フィンランドは自然環境の豊かさと先進的な研究開発を背景に、食品分野で独自のイノベーションを展開している。美しい自然、清らかな空気と水、肥沃な土壌といった環境要因が、安全で健康的、かつ美味しい食品の生産を支える世界的な基準となっている。

政府・産業・研究機関が連携するエコシステムでは、垂直農法、精密発酵(precision fermentation)、植物性タンパク質などを中心に、持続可能性と栄養価を両立させる技術開発が進んでいる。こうした取り組みは、世界の食料課題に対するソリューションとして注目されている。

背景となる国際的評価と理念

フィンランドは8年連続で「世界で最も幸福な国」と評価されているほか、2022年の世界食料安全保障指数では第1位を獲得している。これらの評価は、持続可能性に基づく高品質な食料システムの実績を示すものであり、国内外の連携を通じてさらに展開される。

国家理念としての「サステナビリティ」は、食と林業を含むバイオエコノミー全体に浸透しており、持続可能で栄養価の高い食料システム構築への貢献が期待されている。

万博の北欧パビリオンで開かれる「Think like a Finn – Food for Thoughts」

「Think like a Finn – Food for Thoughts」は、2025年9月下旬に大阪・関西万博の北欧パビリオンで開催されるイベントである。会期中は、持続可能性、栄養、回復力という三重に直面するグローバル食料システムの課題に対する解決策が議論される。

本セミナーは、フィンランドの農林大臣サリ・エッサイア(Sari Essayah)氏が2日間にわたりイベントをリードし、国際的な対話とパートナーシップ形成を促進する場となる。フィンランド政府関係者や企業、研究者が参加し、実践的な協力関係の構築を目指す。

イベントの目的とテーマ

イベントの中心テーマは、持続可能な食料システム、食料安全保障、若手農家の育成である。これらを軸に、フィンランドと日本の共通価値である自然への敬意とイノベーション精神を改めて強調する構成となっている。

プログラムは講演、パネルディスカッション、企業展示などを通じて、具体的な技術や事例の紹介が行われる予定である。海外との実務連携を想定したディスカッションも含まれ、実効的なパートナーシップの構築を目指す。

商業化を進めるフィンランド企業と注目技術

フィンランド企業は、食品分野で多様な技術を商業化しており、万博や関連イベントでその一端を披露する。日本市場に既に供給実績のある企業も多数参加している。

参加企業や技術は、発酵やタンパク質を軸とした革新的なアプローチが特徴であり、動物性原料に依存しない代替タンパク質や、廃棄副産物を有効活用する手法などが含まれる。

出展・紹介予定の主な企業と技術

  • Fazer、Valio、Apetit:日本市場に製品を供給している既存ブランド。EXPO内の「ノルディック・フードデー」に参加し、「身体と地球にやさしいクリーンな食」をテーマに展示。
  • Onego Bio:発酵によって動物性原料を使わない卵タンパクを開発。
  • Happy Plant Protein:植物性タンパクを製造する企業。植物由来の原料を活用した製品化を推進。
  • Enifer:工業副産物(副原料)からマイコプロテインを生み出す技術を有する。
  • Solar Foods:空気と電気を原料に、栄養価の高いタンパク質を生成する独自技術を保有。

これらの企業による展示・講演は、発酵技術とタンパク質生産の最前線を示すもので、持続可能な食料供給の具体的な選択肢を提示する。

日本との協力と会期前の動き

フィンランドは日本との二国間連携を積極的に模索しており、北欧全体としての協働も視野に入れている。万博と関連イベントは、両国間の実務的な協力を拡大する機会となる。

農林省事務次官のペッカ・ペソネン(Pekka Pesonen)氏は、食品業界の代表団を率いて来日し、東京と大阪を訪問した。これにより、現地企業や官公庁との具体的な連携の道筋が探られている。

万博での関連取組と展示

EXPO2025 大阪・関西万博の北欧パビリオンはフィンランド、デンマーク、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの5カ国が共同で展開しており、フィンランドの主なパートナーにはノキア、農林省、フィンエアー、5G Mökki、ユヴァスキュラ市、オウル市、Metsä Group、Metaverse Dayなどが名を連ねている。

また、万博内の「Nordic Food Bar」では北欧の特色を活かしたメニューが提供され、来場者がフィンランドの食文化や持続可能な料理哲学に触れる機会を提供する。

ビジネスフィンランドと大阪・関西万博の位置づけ

ビジネスフィンランドは、イノベーションへの資金調達と貿易・観光・投資の促進を目的としたフィンランド政府の機関である。700人以上の専門家が世界各地の40のオフィスとフィンランド国内の16の地域オフィスで活動している。

ビジネスフィンランドはチーム・フィンランド・ネットワークの一部として、企業の国際展開支援や共同プロジェクトの促進を担う。詳細は公式サイト(https://www.businessfinland.fi/en/for-finnish-customers/home)にて公表されている。

大阪・関西万博の概要

大阪・関西万博は2025年4月13日(日)から10月13日(月)まで開催され、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに約2,800万人の来場を見込んでいる。北欧パビリオンは複数国の協働展示として、食・技術・文化を横断するプログラムを実施する。

本イベントは、国際的な来場者や出展者が交わるプラットフォームとして、フィンランドの持続可能な食イノベーションを国内外の関係者に示す重要な場となる。

まとめ(本記事の要点)

以下の表は、本記事で取り上げた主要な情報を整理したものである。イベント名、開催時期、参加企業、主なテーマ、関連機関などを網羅している。

項目 内容
プレスリリース公開日・出典 Business Finland、2025年9月9日 17時00分(クレジット:Juho Kuva/Visit Finland)
イベント名 Think like a Finn – Food for Thoughts(大阪・関西万博 北欧パビリオン、9月下旬)
主催・リード フィンランド政府関係者およびビジネスフィンランド。サリ・エッサイア農林大臣が2日間リード。
主要テーマ 持続可能な食料システム、食料安全保障、若手農家育成、バイオエコノミー(食と林業)
参加企業(例) Fazer、Valio、Apetit、Onego Bio、Happy Plant Protein、Enifer、Solar Foods など
フィンランドの強み 豊かな自然環境、研究開発力、精密発酵や植物性タンパク等の技術、世界食料安全保障指数1位(2022)
万博概要 2025年4月13日〜10月13日、テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」、来場見込み約2,800万人、北欧パビリオンは5カ国共同出展
関連機関 ビジネスフィンランド(700人以上の専門家、世界40拠点・国内16拠点)、ノキア、農林省、フィンエアー、5G Mökki、ユヴァスキュラ市、オウル市、Metsä Group、Metaverse Day 等
参考リンク Business Finland(公式)

本記事では、フィンランドが大阪・関西万博を通じて提示する食とイノベーションの全体像を整理した。持続可能性、栄養、回復力という課題に対し、発酵や代替タンパク質などの技術が具体的な解決策として示されている点や、政府・企業・研究機関が連携する実践的なエコシステムが大きな特徴であることを本文で伝えた。

参考リンク: